産業革命
私はフリーハンドで削り出す鉢成形が好きなのですが、樹によってはキッチリ整った線の鉢にも入れたいですし、でも、そういう鉢を今までのやり方で削り出していると、とにかく時間がかかって、作り始めるのにも気が重くなりますし、頼まれている鉢もなかなか数で期待に応えられず、また更に気が重くなってしまいます。
なので、遅過ぎるくらいかも知れませんが、今までの自分のやり方でやれるところまではやって、そこから得るものは得たと思うので、次のステップへ進んでみようと思い立ちました。
別の、もっと作業が早いだろうやり方を取り入れてみます。
型紙とかコテを自分で作っています。
せっかく鉢作りにあてられる時間、粘土をいじらず作図したり木材を削ったりするなんてイマイチ満足いきませんが、急がば回れだと自分に言い聞かせてちょっと一式作ったので、試しに朱泥で最近作っているシンプルな外縁の長方を作るための型紙とコテで成形してみたら、今まで半日かかったところまで、ほんの1~2時間くらいで終わりました・・・
猿から人間に進化した瞬間ですね。
産業革命とでも言いましょうか。
さて、なぜやっと重い腰を上げて新しい作り方に手を出したかというと、今私は今まで作ったこともない大きさ(といっても乾燥前で12センチ程が目安の大きさ)の朱泥の楕円鉢を頼まれていまして、今までならフリーハンドでセコセコと作るところですが、使う粘土、形を考えまして、ちょっと今までのやり方ではものすごく大変になると、話を受けた後で気付きまして、ちょっと冷静になり、考え、今までと別の方法を考えて作ってみようと思うに至ったのです。
とりあえず楕円をフリーハンドでなくキッチリと描いて、型紙を作ってみることにしましたが、私は数学とか図形とか嫌いだったのでそんな方法知りません。
なので調べてみたら、案外簡単なんですね。
コンパスと定規ですぐに描けました。
寄せ植え用ということなので、鉢の奥行きは絞りめの方が良いかと思い、その方向でいくつかサンプルを描き、この辺かな?というものを厚紙に描いてカッターで切り抜きました。
ユザワヤで丁度良さそうな丈夫な厚紙を探してみると、いろいろあるものですね。
何に使うものか知りませんが、厚さ1ミリちょっとあるパウダーカラーペーパーとかいう丈夫なものがありましたので、試してみることにしました。
あとはこれ用のコテが必要ですが、注文では樹と共に「この樹用の鉢」という指定しかありませんでしたので、コテは鉢の細かいところも考えてまとめてから作るしかありません。
道具を作るのは面倒臭いですが、作ればまた他の鉢作りでも使えるのですから、やっぱりタイミングをみていろいろ作っておいた方が合理的なのですね。
今頃そんなことをわかるなんて、やっぱり私は職人さんには向かない脳ミソです。
とにかく、ちょっとこの方向の成形も自分のひとつの方法として身に付くようにこれからしばらく試行錯誤です。
良いものをもう少し多く作れるように、頑張り松。
更新!!
梅雨明け後の日差しが体にこたえたのか、少し前まで体にあるべき骨の数が2、3本足らなくなったかのように踏ん張りの効かない感じになって、精神的にも根気がなくなっていましたが、やっと回復してきたようです。
今日は私、可愛い美容師さんにスポーツ刈りにしてもらってきて、頭もスッキリ。
やっぱり夏はスポーツ刈りに限るね!
最近はといえば、ひと月半後に迫る支部展の飾りを決めるのに頭を悩ませています。
3回目の出展となるのですが、まだまだ楽に樹を選べるほどになれはしません。
棚中あちこちチリチリだし・・・
そうそう、夏の日差し対策については、もう少し考え直さなくてはならないなと、最近思っています。
モミジ、カエデ類も場所によってだいぶ葉がやられていますし、今年一番の被害を受けたのが五葉松。
自分で実生したものが何本も星になりました。
若い五葉松だけでなく、先日、あぜっちからいただいた五葉松まで星に・・・
皮がちょっと荒れてきて、これからじっくり持ち込むのをたのしみにしていたのに。
(azeさん、ごめんなさい・・・)
先日伺った盆栽園さんは五葉松の棚の上にもしっかり寒冷紗を張っていました。
今年の状況を考え、私も五葉松を直射日光から避けて管理してみることにしました。
まだまだ夏はこれからです。
これ以上の被害を出さないようにしなくては。
鉢作りですが、基本今年は樹作りのほうに力を注いで、鉢作りはその次で、と考えていたので、なんだかんだで春から6月頃まで、植え替えから挿し木取り木と案外忙しく、あまり数を作れませんでした。
最近だんだん勢いに乗ってきて、昨日も暑い中冷房なしで窯をたいていました。
でも、すべてテストピースです。
しばらくは数を作ることにあまりがんばらず、ちょこちょこ作りながらも新しい技術を身に付けるための作業にもしっかり時間を割きたいと考えています。
一木一草話経由でいただいた鉢の注文もこなせずにいますが、どうかご勘弁ください。
今扱っている朱泥ですが、この前品を出してからとても良い評判をいただいているのですが、乾燥から焼成の間でとにかく歪みやすく、作ったうちの半分もまともに焼き上がりません。
どうにかしたいといろいろ調整中ですが、まず、乾燥に関しては、今までは重しを載せて乾燥させるだけでしたが、それだけではダメなようですので、軽くラップで包んだままゆっくり乾燥させてみました。
具合は良いようです。
あとは焼成にひと工夫、コツを探ります。
今日はコンパスと定規でいろいろな楕円を描く方法を勉強しました。
コンパスがあれば六角形も描けるし、案外コンパスってすごいのね。
と、まあそんな感じでとりあえず最近のことを思いつくままに書いてみました。
そうでもしないと広告が出るまで更新しなくなってしまいそうですからね笑。
金明竹のその後
少し前にとある方から自己紹介された時、
「竹本と申します」
と言われた瞬間に、ちょっとドキッとしました。
さてさて、暖かくなってから株分けした金明竹に勢いが出てきました。
竹は乾きに弱いと聞いていたので、薄い竹本鉢に植えたら糸で縛って固定し、ミズゴケを敷いて、さらに生ゴミ用のストッキング状のネットで鉢を包んでいますが、その中を根が伸びてきています。
そして、最近新しい竹の子が株元から伸び始めてきました。
株分けする前の大きな鉢で伸びた、節の間の広い、長く伸びてしまったものは使えないので、少しずつ外していくつもりですが、どのタイミングで切ればベストなのかはわかりませんから、手探り状態です。
長く伸びてしまっている去年からの幹を切ったら新しい竹の子に勢いが行って、そっちがぐーんと伸びてしまうとか、そんなのあるのでしょうか・・・?
自分のイメージとしては、新しい竹の子に更新しつつ節の詰まった幹を高さを抑えつつ増やしていき、地下茎を鉢の中に広げてもらって幹の立つ場所を広げ、あらあら気が付いたら薄鉢の上に素敵な竹林が出来ていました、めでたし、めでたし、という感じです。
竹林といえば、私が小さい頃、竹林には豆腐小僧という妖怪が出ると教わりましたが、さっと調べてみても竹林と豆腐小僧についての記述は見当たりません・・・文雄おじさんの勘違いのようです。
こちらは更に薄い竹本鉢に植えた金明竹。
やっぱり根を伸ばして逃げ出そうとしています。
逃げたら枯れるのにね。
イモリも同じことをします。
フタのない水槽でイモリを飼うと、逃げたらひからびるくせに壁を這い上って脱走します。
牢獄で飼い慣らされるくらいなら命を危険にさらしてでも自由を選ぶという姿勢を目の当たりにし、空になった水槽を前に敬礼をした小学生の私がいました。
ま、作り話ですけど笑。
竹の子も伸びてきています。
なるべく水気の残りやすい場所を選んで置いています。
まだまだ具合がわかりませんので、いろいろ思案しながらの管理になりそうです。
うまいこといったら国風展にでも出してみようかと思います。
七五三モミジ 1年の成果
去年、aze号で行った安行方面への旅で買って帰ったものの中に七五三モミジの大きめポット苗がありまして、枝もなく真っ直ぐで節間も伸びたものを挿したものでしたから、そのテッペンを作って取り木してみようと計画していました。
1年経った今の姿です。
秋になって伸びる芽は力が弱いせいか妙に節が詰まったりします。
そんな節の詰まった部分というのは自然とゆるやかな模様を描いてくれたりして、それがこの樹の先端部分です。
春にその先っちょにハサミを入れて、そこから芽が伸びて、一曲できました。
その後は先っちょからは芽吹かず、少し下の節が詰まったところから何度も芽吹きましたが、小さな七五三を作るのにそんな沢山の下枝はいらない気がしましたので、全部芽吹く度に抜いてしまいました。
こんな姿になるように取り木するつもりです。
特に将来立ち上がりになる予定の所からは何度も芽吹き、そのおかげで肉が少し盛り上がり、足元らしくなってくれました。
これでテッペンから右方向へひと芽伸びてくれたら幹模様はそれで満足。
葉を1、2枚、ちょろっと垂らす姿が素敵そうです。
来年には取り木を掛けましょう。
と、1年かけてハサミを1ヶ所入れ、あとは芽掻きでここまできましたが・・・作業が地味ですね笑。
途中で1回くらいチェーンソーでも使ったほうが良かったかしら。
ところで、最近根元から吹いてきた芽は、葉が普通のモミジに近くなっていました。
それは良いのですが、上に芽ツボがあるのに、こんな下の方から芽を吹くと、ちょっと心配します。
五葉松がはげる。
五葉松に10円玉ハゲができました。
枝ごとのダメージという感じでなく、テッペン付近の葉が円形に枯れたという感じ。
同じ枝でも葉のダメージが中心寄り。
五葉松の繊細さには頭を悩まされっぱなし。
しかしながら、無事な枝もあり、もともとこの樹は最初の枝分かれで沢山の枝が出ている樹でしたので、いずれは抜く枝を選ばなくてはならなかったわけで、その枝を樹が自分で選んだ形になったと言えましょう。
とりあえずダメそうな葉を切っておきました。
これからもう少し葉の枯れ込みが出ると思いますが、多分生きていてくれるとは思います。
いいえ、枯れたら承知しません。
電気窯にブチ込んでやります。
う~ん、何故こんなことになったのか・・・
春頃まで取り木を考えていたり、更に、まだ小さく若いし、古葉を多く残したままで様子を見ていましたが、それだけで??
先輩は「樹が教えてくれる」と言いますが、この五葉松は黙して語ろうとしません。
五葉松恐怖症になりそうですが、偽りの愛で代わりに黒松に走るなんてこと、私にはできません。
五葉松はロマンです。
日本小品盆栽協会東京支部 7月の例会のご案内
7月14日(第2日曜日)、日本小品盆栽協会東京支部の7月の例会があります。
★午後1時半より
「教室」
テーマⅠ: 「松の短葉法」・「夏場に出来ること」
テーマⅡ: 「盆栽何でも相談」
講師: T屋氏
会費: 500円
会場:杉並区立永福和泉地域区民センター3階、工芸室(井の頭線・永福町駅下車、徒歩5分程)
井の頭線永福町駅改札を出るとすぐ頭上に、看板がありますね。
目指すは永福和泉地域区民センターです。そのまま直進ですよ。
最近新しくなった駅舎。そのまま行くと、左に折れます。
左に折れると右手にすぐエスカレータと階段があります。
ここを降ります。どちらを使うかは自由です。
さあ、駅を出ました。
目印は「ボンシューズ」。このお店がやっているのを先日初めて見ました。
このお店に向かって左を走っているのが「井の頭通り」です。
ここを反対、「大勝軒」側に渡ります。信号は守りましょう。
大勝軒側に渡って右を向きます。
三菱東京UFO銀行の看板が見えますか?見えたらそのまま怖がらずに前進します。
もうすぐですよ。
少し歩けば酒屋の三浦屋さんがありますね。
さて、この三浦屋さんの角を左に入っていきます。案内の看板もありますよ。
ここまで来ればもう安心。曲がってすぐ右手に見えてくる建物が永福和泉地域区民センターです。
正面入り口はこちら。
中に予定表がありますので、会場を確認してみましょう。
会員でない方の見学も歓迎しております。
興味のある方、初心者の方、ご参加をお待ちしておりますので、お気軽にどうぞ。
8月の例会は、8月11日(第2日曜日)です。
炎天下のクレイジー
梅雨が明けて、朝の潅水も汗だくにならずして終わらなくなりました。
只今姫ザクロとaze性のサンザシが水切れで、風鈴ツリバナマユミがおそらく根の不調で、メネデールを処方され保護中。
他にも暑くなってから葉色の冴えない樹がいくつか。
小さな鉢に閉じ込められた夏というのは、人間で言えば、明らかに小さ過ぎるホットパンツで過ごす夏みたいなもの。
樹もギリギリのところで生きています。
さて、今朝水やりをしていたら、私というO型の血を持つ人間がいるというのに何の興味も示さず開花中の穂咲きナナカマドの花にとまってモジモジしている蚊に気付きました。
カメラを近付けても逃げる気配がありません。
どうも、ただ止まって羽根を休めているような感じには見えなかったのですが、もしかして、思う所があってベジタリアンにでも路線変更したのでしょうか。
私としては、相手にされなかったらされなかったで、ちょっとO型としてのプライドが傷つきます。
棚にはもういろいろと夏の虫たちが集まって来ています。
先日書いたルリマルノミハムシも穂咲きナナカマドの花に。
こちらは初めて見る蟻です。
世の中には蟻の姿そっくりのクモもいるので、この虫もどうなんだか。
そして、また今年も蜂が水を飲みにやってくるようになりました。
襲って来ないのでこちらからも手を出しませんが、いちいち羽音に圧迫感がありますし、第一、私が丸腰でも相手は丸腰ではないはず・・・懐には毒を塗ったジャックナイフを隠しているんです。
そして、私がいるから水を飲めるのだから私を脅したり襲ったりしてもあんたには何の得もないのだよと説明しても、話が通じる相手ではありません。
凶器を持った話の通じない炎天下のクレイジーに、一体誰が心を許すでしょう。
私なら近寄りません。
なんとなくシャレで竹を竹本鉢に入れてみる
竹というのは周期的に全面開花して枯れるんですって。
マダケだと、120年に一度くらい。
昭和40~43年に、全国のマダケ林が一斉開花しておよそ7億本もの竹が枯れたそうです。
竹って・・・思い切りがいいんですね。
あと、竹が伸びるのは生えてから2、3カ月の間だけで、その後はそれ以上大きくならないし、太くもならないそうで、というのは、竹には、樹が年輪を作るように毎年新しい細胞を作りだす形成層という組織がないからで、だから生まれた年の一次成長で止まってしまうんですって。
そして幹、竹の場合は正確には稈(カン)というそうですが、その寿命はだいたい8年。
樹のようで樹でなく、幹は持ち込めず、姿は更新されて変わっていく・・・
人が盆栽に求めるものによっては、竹という樹種はまったくの興味の対象外となりそうです。
私は去年買っておいた金明竹2鉢を今年、小鉢へ株分けしました。
私の大きさで素材を2鉢も買うと、たくさん分けられます。
中には極薄の長方もいくつかあり、これからの管理に気を使います。
若干葉色の薄くなっているものが多いですが、どうにか枯れずにいてくれています。
これから竹という樹種を、少しがんばりたいと思っています・・・できれば薄鉢で。
小鉢におさめて、ここから。
やっとスタート地点に立てました。
ルリマルノミハムシVSデコピン
朝の潅水中に、先日咲き始めた青つづらふじの花に小さな甲虫が2匹いるのに気付きました。
とりあえずその場で天然原料100%の強力な農薬、「デコピン」を散布したのですが、1匹は遥か彼方へ時速100マイルで飛ばされたものの、もう1匹が棚のどこかへ不時着してしまった様子。
出際だったので丹念に探すこともできずそのまま出掛けましたが、帰ってくると、再びその1匹が青つづらふじに戻り、花がいくつか食べられていました。
うちでは時々見掛ける虫で、ムラサキシキブなども好きなようです。
気になって調べてみると、ルリマルノミハムシ(瑠璃丸蚤羽虫)という昆虫らしく、花粉を食べるとありましたが、青つづらふじは、花ごと食べられて黒くなってしまっていました。
おそらく、自然の中の大きな樹なら、多少花粉を食べられてもその虫がいることで花粉も運ばれ、子孫を残すことに貢献もあるのでしょうが、うちのような小さな樹においてはこの虫たった数匹だけで簡単に開花した花全てをやられてしまいますので、枯れないにしてもせっかく1年の頑張りの成果となる秋の実成りを楽しめなくなるのですから、そのために家庭を犠牲にしてまで頑張っているのですから、おおごとです。
今回の反省としましては、天然成分100%強力農薬「デコピン」も、使い方を誤ると効果がない、ということです。
でも・・・去年までは自分の樹で実をつけて飾ることなどまだまだに思えていましたから、こんな失敗も成長の証と、そんな風に感じたりしています。
青つづらふじの開花と、触れずにスプーンを曲げる方法
今年初の青つづらふじの開花です。
樹はおそらく、3年程前に支部展で買ったものだと思います。
ビニールポットで1000円くらいのお財布に優しい子。
私には、10キロ先までの良い樹を見抜くことのできる野性的な目と、類稀なる樹作りのセンスがありますので、この手にかかればただの1000円の樹が雰囲気のある1000円の樹へと変わります。
ん?
開花してくれたのは良いのですが、今年はオス樹の機嫌があまり良くなく、まだツボミすら見せてくれません。
私の構想では、このツルに実が付いて、実の重さでツルが垂れ下がって、樹の流れは左に直ることになっているのですが・・・
ところでこのてる子鉢、なんとも良い具合に古くなっていて、雰囲気がとても良いのです。
きっと、どなたかは存じませんが、前の所有者さんが丁寧に使い込んでらっしゃったのですね。
ええ、ええ、どなたかは存じませんが笑。
私はこの作家さんの鉢、あまり盆栽盆栽していないので好きです。
こちらもてる子鉢。
少し前、交換会でとある先輩から譲っていただきました。
赤と黒の組み合わせの盆栽鉢というのはあまりないので、使い応えがありそうです。