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月に掛かる雲

私の友達で、ダンボールを素材として創作活動を行っている女性の作家さんがいます。
大人の世界の馬鹿らしい規範にとらわれず、見栄を張らずにさばさばとまっすぐに生きていて、信頼のできる人です。

その女性に以前、私の支部展の飾りの写真を見ていただいた時の話です。

八つ橋と呼ばれるこの長方形の二枚の板のセット。
私はこの地板を主に軽いもの、草や添配を置くのに使いますが、彼女はこの写真を見て第一声、
「敷物の板が月に掛かる雲みたい!!」
と興奮していました。
私はそんなこと、まったく考えていませんでしたから、なるほどと、次にこの鉢を使う時もまた八つ橋でいこうと、盆栽飾りを何も知らない人から見事に教えられたのでした。

でも、この話はそれだけでは終わりません。
その後少したった頃、何気なくテレビの番組表を見ていたら、「美の壺」のテーマが「棚」だったので、飾り棚とか床の間とか出てくると思い、興味が湧いて見たのです。
そうしたら、壁に月を模した丸い窓があり、その窓に、雲に見立てた違い棚が掛かるという、そんな床の間を紹介していまして…(画像 http://www.nhk.or.jp/tsubo/program/file290.html)そこに彼女の発想と同じものを感じ、やはり彼女は良い感覚をもった人だと、そう思いました。

知識と経験があるだけでは、それが重い鎧となってしまうことも。
素直な良い感覚を持っている人は、ものを知らなくても、その辺を時にひょいと飛び越えて驚かせてくれます。

カエデ

買った時はもっとノッポな樹でしたが、小さくなりました。
改作のイメージ通りに育ってくれた素直な樹です。
ハサミとピンセットでチマチマとやっていたらやさしい感じの樹になってくれました。
流行外れの作りですが、こんな樹はお嫌いですか?笑。

左に強く伸びる枝が流れを崩している感がありますので、落葉する前に、「お前はちょっとでしゃばり過ぎだぞっ」と、少しだけ切り戻して、来年さらに良くなってもらいます。
先日の例会で、この樹は枝数を増やそうとしてはいけない樹だと、アドバイスをいただきました。
まさに、その通りだと思いました。


信濃寒桜


信濃寒桜。
花と紅葉が同時にたのしめて、贅沢です。
晩秋から来年までの花期とのことで、1月の名品展でも飾られているのを見たことがあります。
私も、9月、3月、1月と、展示会に出展する季節が増えるごとに、持っておきたい樹種も増えていき、この信濃寒桜もそんな樹種のひとつになったわけですが、私好みの作りで私好みの大きさの樹は、なかなか出会うことがなかったもので、今年、大きなポット苗を買い求め、ただの棒でしかない枝の挿し木がほとんどですが、自分でいちから始めてみました。
写真の樹は足元に多少の曲がある挿し穂だったので、棒の挿し穂よりも数年早く形になってくれるはずです。
富士桜などは、私の腕が悪いのでしょうが、私の鉢の大きさだとどうしても2~3年で枯れてしまいがちなのですが、この樹種はどうなのでしょう。
桜という樹種ですから、枝姿に多くを求めません。
とにかく、小さな鉢の中で生かされて不満はあるでしょうが、できるだけ長く生きてもらいたいと思っています。

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