【質問】コナラの軸切りについて 後編
さて、今回は前回「【質問】コナラの軸切りについて 前編」で記したやり方の実践ということで書いてみますが、今手元に今年のコナラの実生はないので、たまたまあった?ドングリのボスみたいな存在、食用の「栗」でやってみましょう。
何故そんなものがあるのかちゃんと説明すると、品種ものの「三度栗」を接ぎ木して増やす台木にするためです。なので、良い足元を作るという意味では良いですが、低い位置に節を作るという意味では必要ない作業ですね。でも、せっかくなので。
赤い芽が水苔から顔を出しています。芽が伸びる前に掘り返して作業するのが大切です。
ちなみに今回の実生は水苔と桐生砂2種類でやっています。
水苔は、春に掘り返して実生を取り上げる際に楽です。ちょんと上向きに出ている赤い部分が伸びて軸になっていくところですね。芽先も根も栗の中身とつながっていて養分の供給を受けているのがわかります。
この栗は良い曲がついていて、細根もバランス良い感じですので、将来の根張りの箇所でスパッと切ってしまいます。それを鉢に入れて固定しなくてはならないのですが、食用の栗はとても大きいので・・・
ガムテープで鉢に固定してしまいました笑。小さい実の樹種ならボンドでも可能ですね。とにかく、根が土の中で動かないように固定します。
そうして、乾かないように一応水苔を載せておきましょう。
こちらは若干細根が少ないですが、
しっかり蓄えられた養分を使って成長してくれると信じましょう。
自然についた曲を活かせるように直根を切り詰めます。
この辺は平和な優等生たち。皆に曲があり、細根があるわけではありません。
コナラの実生でもそうですが、こういったまっすぐで上の方に細根がないものも当然出てきます。小さい盆栽では、真っ直ぐ寸胴な根を残すと、そこは幹になるので、いつまでもその雰囲気は残ってしまいます。
今回は試しに根を残さず切り詰め、完全、軸切り挿し芽状態にしてしまいます。
何故そうするかというと・・・
最初に書いた通り、今回は水苔と桐生砂に栗をまいてまして、桐生砂のほう、こちらの成績が悪かったのです。悪いものが発生してしまったのか、多くの栗が発根前にダメになっていたようで、でも、それでも発根しているのも少しあったのです。
ただ、それらも根は伸びる途中でダメージを受けたようで、直根の伸びは止まっていました。
ただ、良く見ると、中にはその傷を修復してそこから新しい根を分岐させているものもありました。
もっとわかりやすいのが前回載せた写真ですね。
傷を修復してからこれだけ発根できるのなら、細根を残さず切っても頑張ってくれるでしょう、と思ったわけです。
今回は受けた質問に対応して栗の実生を作業しましたが、最初に書いた通り、これらは接ぎ木の台木にしてみます。上手くいくかどうか。そして、実際に接いでみるのは実の小さな三度栗。被害の多かった桐生砂の中を探っていたら、発根して、やはり根の先にダメージを受けた、三度栗の実が出てきました。
復活を期待してみましょう。
というわけで、コナラの挿し芽についての質問を受け、諸々ひっくるめて小さな盆栽を仕立てる際のドングリの実生後の作業について、記事を2つまとめてみました。
植物っておもしろいです。