日本小品盆栽協会プレイバック!
バラなんですけども、なんですかね、この可愛らしさ。実際に手に持ってみるとさらにその良さがわかります。
日本小品盆栽協会の副会長で(私はこの人が副会長だということ、忘れてました笑)、会の講師でもあるTさんのバラです。この人は、本当に頭の中がどうなっているのかを見てみたいほど何でも知っていますし、先輩方が実をつけられない木もこの人のもとへ里親に出されると実を付けてしまいます。それも本当に小さなサイズの木でも。
そして何より、この人の作る盆栽を見ると、「はぁー」とため息が出てしまうことが多いのです。何なのでしょうか。盆栽にため息ひとつと、こんな木が作れたらなぁというのにため息もうひとつです。この人の展示を見て、それまで松柏を作るということにあまり熱心でなかった私も考えを改め始めました。よく見る松柏の盆栽とは、なんだか違う雰囲気を感じたのです。
東京支部の例会の後半は、いつもこのTさんが先生になって教室を開きます。
後半の教室では、毎回その季節のテーマが決まっていて、今回は「芽摘みと夏場の管理」です。テーマに沿って話していただいた後、それぞれが悩みを抱えていたりする木をTさんに見てもらいます。皆さんひとりひと鉢な感じで持って来ているようですが、今回は私、こっそり2鉢まぎれ込ませておきました。若手はしっかり甘えておかないと。
今日はそのうちのひとつだけ書いておこうと思います。
香丁木と書いて売っていたものですが、葉は他の香丁木よりも少しだけ大き目です。八重の花が咲きます。
まずはこの木を手入れしていただきました。
さっと眺めた後、「もう花は楽しんだ?」と私に聞いてきます。つまり、ハサミを入れて良いか、ということです。この人はよくこの言葉を使います。
私はそんな聞き慣れない言い回しに最初、ハッとしたものです。教室に教材として持って来た自分の木も、「もう十分花は楽しんだから」と言ってハサミを入れていました。
素敵な言い回しだと思います。
さて、「今が時期だから」と言ってハサミを入れだし、こんなにすっきりして戻ってきました。丁度良いかなと思っていた鉢のサイズが、なんだか大きく感じてしまいます。
私は右に伸びる枝の緑のテープのところで切って、左に流れを作っていこうかと考えていて、その旨をTさんに伝えましたが、しばらく考えた後、「ここは残した方がいいね」となりました。右に流れを作っていくことにします。「日本小品の犬」と言われても、この先生には逆らえません。そんな私に「ワンと言ってみろ」とおっしゃるのなら、いいでしょう、ワンと言いましょう。
しかし、ただ持って行って手を入れてもらっているだけでは何にもならないので、自分なりに出来る限りこれからをイメージしてみてから持って行き、手を入れてもらった後はどこにどれだけハサミを入れたのか、しっかりチェックします。
こうしてTさんは、盆栽だけでなしに、私という盆栽名人も作ってしまうんだなぁ。才能ある生徒を持ったTさんは幸せです。
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