雪
予報の通り、東京も季節外れの雪に覆われました。寒い、寒い。
多くの樹はそのままですが、昨日から今朝まですごい温度差。時期的に、樹も暖かくなって寒さに対する耐性を緩めてしまっている無防備な状態ですから、思わぬダメージもあるので注意してあげたいですね。特に小さなものは。
このタイミングの寒さは真冬より危険です。
私は、急に気温が下がり始めた昨日の雨の降り始め頃から、小さいもの、暖地性の樹のものを中心に、一部の発泡スチロール箱の蓋を再び締めました。
季節の変わり目は風の強い日も多いので、全部というわけではありませんが、落ち着くまでは箱から出さず、蓋を開けたまま管理しています。
すみれの季節
さてさて、どこもかしこも新型コロナウィルスの話で持ち切りでございます。様々な対応に迫られる皆様、お疲れ様です。
先日は、帰宅途中の買い物をとスーパーに寄るタイミングと都知事会見の情報が重なってしまい、買い出しに集まる人たちの波に呑み込まれ、レジで30分近く待ったでしょうか、ちょっと疲れました。
私としても必要から休日なども使って勉強や情報収集を意識する日々ですけど、でも本当に大切なところは、私は医者でもなければ政治家でもないのですし、専門家の言う基本的なことを頭に入れて、その中でなるべくストレスなく暮らしていくことだと思っています。
私のまわりもストレスを発散させるかのように、憶測で何かしらを責めたり疑ったりする発言が増えています。私はそういうのはかえって自分を疲れさせると思っていますのでむやみに付き合わず、最低限の大切な情報のみを頭に残すよう意識しています。だって、私の頭はファミコン程度か、せいぜい+ディスクシステム位しか容量がないのですから。
そんな私のファミコン脳は、良い音楽を聴くだけで素敵な時間を過ごせます。
Porque llorax blanca niña · Rita Payés and Elisabeth Roma
こんな状況ですけど、盆栽は孤独な作業で成り立つ趣味ですから←?これもまたリラックスできる良い時間になります。加えて今は花や芽出しの美しい時期。盆栽人ならこれをたのしまないと。
先日知人から桜が咲いたと報告を受けました。盆栽趣味の人ではない素人さんですが、去年、数年前に買った桜の盆栽がずっと咲かないと相談を受けていたのです。一度預かって鉢土の中まで全部チェックしてあげたら、バッチリ根頭癌腫病でした。植え替えとコブの切除と、消毒をして、ひと通り病気について説明してあげて、あとは本人に任せたのですが、捨てずに育てるそうなので、いろいろ相談にのっていました。本人がやる気ならこちらも面倒をみましょうと思って手伝っていましたが、それから1年、今年数年ぶりに花を咲かせ、とても喜んでいましたよ。
私は咲かないと思っていたのですが笑。
うちではスミレが咲いています。
スミレを小さくたのしみたいのなら、小さいうちに小さい鉢やメロディアンミニ鉢へ移しておくことがベストだと思います。地面や大きな鉢である程度育ってしまったものを小さくするよりも、春、鉢の隅などに勝手に発芽したものを小さいうちに小鉢へ移して持ち込むのがいいです。
大きく育ったものは、秋までには自家受粉用の閉鎖花をつけてタネをたくさん飛ばしますので、増やし過ぎに注意です。
微妙なものも咲いています。
たしか、屋久島チャルメル草と言ったか。。。はっきり言って、興味のない人にとってみればゼニゴケが蒴を持ち上げている姿と何も違わないと思うことでしょう。
実は私もこの魅力がわかりません笑。
ヤマモミジに取り木して、極小に仕立ててみるみる。
上部を抜かれて一の枝から下だけ残ったヤマモミジ。そんなでも、枝の節を詰めて作っておけば、傷跡が塞がりきれいになる頃にもうワンチャンスできます。
この樹はそのワンチャンが来たようなので、取り木をして極小の盆栽に仕立てます。
傷跡もこの通り、ほぼ埋まりました。ちなみに私は癒合剤の代わりに木工用ボンドを使っています笑。悪くないですよ。
こういった、枝元から芽吹いているところは注意。
芽があるところはふくらみますし、そこを太らせる意図がない限りは、忘れないうちに必要な芽を絞って、不要な芽を掻き取っておきます。小さい盆栽は特に、小さいだけにそういうところ繊細です。
その芽が必要かそうでないかの判断は、慣れないかたには難しいかも知れませんが、そこを理解しないと不要な傷ばかり増えて幹枝の姿が痛々しかったり、コケ順が悪かったり、幹に対して枝が太過ぎてしまったり、なかなかきれいにいかないものです。
ここはとってしまってもいいし、せいぜい奥行きを出す裏枝の扱いの枝で、どちらかというと抑えていく枝。早めに最低限に使う芽を絞って不要なものは取ります。
ただし今はタイミングとして、取り木をしてより良い発根を得るためにできるだけ芽数を減らさないほうが良いので、しばらくこのまま残します。
さあ、削っておしまい!
よいではないか。
これで盛り土をして発根を促すため、今回はガムテープでプラポットの縁を上げて。。。
そこへ赤玉投入!
さて、結果が出るまでのおたのしみ。良い発根のためのコツは、取り木部分を湿らせておくことは当然として、前年から樹自体を健康に保ち力をつけておくこととか、取り木後もしっかりと太陽に当てて芽先を充実させておくこととか。
年内か、来年の今頃にはコーヒーフレッシュ鉢に収まっていて、そのあと東福寺に入る予定です?
レンギョウを植え替えて、ぶつくさ、ぶつくさ。
以前東京支部の例会で、花実を付けるコツを教わる際、「これを言ってしまうと身も蓋もないのだけれど」という前置きと共に「良い性のものを育てる」ことの重要性を教わりました。管理や技術だけではどうにもならない所もあるわけですね。
昔はうちの樹もその辺で採ってきた枝を挿して作った樹も多く、例えばレンギョウも公園の植え込みからひと芽いただいて育てたものでしたが、結局その性のレンギョウは一度も花を咲かせませんでした。
その後業者さんから普通に花の咲くレンギョウを買って今はその性のみを増やしています。
こちらはまだ若い挿し木間もないのを今年鉢に上げたものですが、早速開花。ダメな性はいくらがんばってもこうはいきません。
だから、花もの実ものを買う時は実際になっているのを見て買うのが安全なのです。ま、止められない熱い想いの時もありますけど笑、そんな時も注意はしましょう、ということで。
小さな樹でも、植え替えたら樹は必ず鉢に固定します。こういう基本を丁寧にできる人に樹は微笑む。
微笑んで欲しい。頼むから微笑んでくれ。
真柏
君、すばらしいぞ。堂々たる白根だ。
3月初めの段階で真柏の根は活動を始めています。
細いのを挿し木して数年、この樹が飾れるようになるにはもう数年かかりそうですが、いったんプラポットから七輪焼きの名鉢へ移しておきます。
曲げてナンボの真柏という樹種を私がどう仕立てるか。そこがむずかしいし、面白い。
ヤマギワ電気によるカラーテレビ特売会のお知らせ
いやいや、ちょっと更新をあけてしまいました。
世は新型コロナの話ばかりです。私といえば、どちらかと言えば花粉のほうに神経を尖らせがちですが、ここ数年症状は軽くなる一方で、今年もまだ1、2日ほどの目のかゆみのみという非常にありがたい状態で、ひどい時期は2月から夜もちゃんと眠れないほどだったのが信じられません。やはり、昔からたくさんの迷子をみつけては一緒に母親を探してあげてきたのを神様が見てくれていたのだと思います。
ところで、先日あるものの修理をしていた際に面白いものが出てきました。
太い糸が欲しいと家の裁縫箱を探っていたら折り畳まれたこの紙に巻かれた糸を見つけたわけですが、広げてみたら古ーいチラシ。カラーテレビ特売会!ハガキ形式のチラシだったので送り先の住所が印字されていて、その住所は私が生まれる頃まで親が住んでいた住所なので、1970年頃のもの。
おそらく私が家を出てから、何かの用で実家の裁縫箱からこの糸を持ち出して、ずっとうちの裁縫箱にあるのでしょう。
家具調のカラーテレビ。調べてみるとヤマギワ電気はリーマンショック後にすったもんだあって、別会社の子会社になりつつ、その名前はまだ株式会社YAMAGIWAとして残っているようです。
その裏面には同時開催の電卓ディスカウントセールの広告。値段の前に、電卓の値段がケタ数で違ったことにちょっと驚き。そして、高い。。。当時の国鉄(現在のJR)の山手線1区間が30円だったそうですから、今の価値に直すともっと高い。PCみたいな感じと考えればいいのか。ケタ数で価格が違うのもPCのメモリの容量と。。。デスクタイプとハンディタイプがあるのは、デスクトップとノートPCみたいなことか。
創業1923年の会社がこの広告で創業50年記念をうたっているので、このチラシの頃にオイルショックがあったわけですね。私の子供心に、石油が手に入りにくくなることとトイレットペーパーの買い占めにどんな関係が?と理解に苦しみ滑稽に思いましたが、今の新型コロナに関連した買い占めによる物不足を思えば、なんてことはない、関東大震災や太平洋戦争時のデマの話も特別な話でなく、どれだけテクノロジーが進んでも人間は人間で本質は変わっていないということでしょう。
このチラシを見せた30歳過ぎの知り合いは、まず最初に「かっこいい!」とデザインに?反応して、そして電卓の値段の高さに驚き、「今100均で買える電卓がこれだけするってことは、いずれ100均でPCが買えるんですかね笑?」と言っていましたが、そういうことでしょう。少し前にグーグルの量子コンピュータのニュースがありましたが、その頃には、今とは比べ物にならない処理能力をもったPC。一家に1人のアンドロイド?盆栽の水遣りを任せても大丈夫??
と、過去や未来の話はそれくらいにして、今のことを。
去年とある展示会の即売で持ち帰った黄梅のポット素材を剪定して鉢に上げました。複数あった枝や芽吹きを引き算で、幹1本、枝1本にまで絞りました。ここから花後に枝を切り詰めて、樹の流れに沿った自然な枝分かれを促すだけです。
こちらは雪柳。おそらく去年の挿し木でしょう。コーヒーフレッシュ鉢から赤絵の磁器に引っ越ししました。こういう樹は、だいたいが年に1回花後に切り詰めるだけ。やたらにいじって作る樹でもないので、やはり樹の流れだけ意識して、いかに自然な樹形でたのしめるかということになると思います。
T屋さんは昔、究極は幹1本、枝1本で何を表現するかだと言っていましたが...とりあえず今年もたいしてはかどらない植え替えをボチボチでもやっていけてることが結構たのしかったりしています。