ケヤキの軸切り挿し芽
実生から小さめの盆栽を作る時に、腰を低く作るための独特の作業があります。軸切り挿し芽です。芽のうちに、根から双葉までの、枝のできない部分を短くしてしまおうというものです。今日は今年芽を出したケヤキの実生苗で軸切り挿し芽をします。
ケヤキの盆栽で見るものは、ほとんどすべてがほうき立ちと呼ばれる、幹から、ちょうどほうきを逆さにしたように細かく枝を広げた樹形で作られています。
今年の小品盆栽名品展の写真です。小さいのに大きい。こんなケヤキ、作ってみたいものです。
ケヤキは今年、20本くらい芽を出しました。
この苗を、双葉の下だいたい1センチくらいのところで、よく切れるカッターやナイフ等で切ってしまいます。この時ダイコンの輪切りの上で切るといいそうですが、
大根は晩飯にとっておいて、私はまな板の上で切ります。
こんなかんじでしょうか。あとはしばらく水を吸わせてから切り跡に発根剤を塗って、土に挿します。土は、私は1ミリ程の赤玉土を使ってますが、専用の挿し木用土がいいそうです。濡らした土に、箸や竹串などで導き穴をあけて、そこに挿します。この時切り口を傷つけないようにします。あとは挿し穂が動かないように土を固定して、水をやりながら乾かさないように管理します。ジョウロで水をかけると挿し穂が動いてしまうので、容器などに水をはって、下から水を吸わせる方がいいかもしれません。しばらくすると、切り口から新しい根が生えてきます。
今回はポットなどに分けないで、例の水切りトレイに挿しました。
あとは祈るだけです。発根するまで毎日メッカの方向に祈ります。
ところで、同じタネを同じようにまいて同じように育てても、それぞれ個性があって違います。ケヤキでは、個体によって、紅葉するものと、黄葉するものがあったり、枝で言うと、斜め上へ鋭角に伸びる個体と横へ伸びる個体があったりします。そして斜め上へ鋭角に枝を伸ばすものが、ほうき立ちにしやすいということで人気です。
私が初めて手にしたケヤキは人気のない、枝を横に伸ばすタイプでした。それをわざと選んだわけでなく、そんな違いがあるのさえ知らず、よくお参りに行く井草八幡で、ちょうど今頃の季節、境内の道端に生えていた芽をもらって来たものでした。それでも、その時は、ケヤキの芽らしきものを手に入れた、ただそのことがうれしくて、ワクワクして、一生懸命勉強して育ててみました。このワクワクがいいんですよね。
今は横に伸びる枝を1本持ち上げて、斜幹的、段作り的に作っていってますが、まだまだです。ただ、つまらない木に見えるかもしれませんが、私にとっては思い出の木です。
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by お名前(必須) (2016-01-23 19:30)