魚の骨を挿す
1年程前、大きな盆栽の展示会の売店で、私には大きめの真柏素材が売っていましてね。真柏素材といってもあれですよ、ただ量産しただけの愛想のないやつですよ。
店のおじさんが、
「いろいろいじるには丁度良いでしょ?」
というのでひと鉢持ち帰りました。
真柏嫌いの私の中で、「氷がとけ始めた」頃の思い出です笑。
その頃まで、私にとって真柏の印象は悪かったのですね。子供の頃から植え込みのビャクシンの気味悪い存在感を好きになれませんでしたが、その流れですね。
興味のない樹種、嫌いな樹種でも、盆栽として心を奪われるものと出会う事ができるとその思いが変わってきます。
さてさて、その素材はひと鉢の中に20センチ程の幹が4本も生えていたので、挿したり取ったりで小さな素材をいろいろ作るにはモッテコイかと思ったのですね。
買ってから、この木は枝幹のあちこちに針金をかけておきましたが、それは樹の整姿のためではなく、挿し穂作りのためですね。
親木にくっついているうちに、基本の姿を作っておくというのがこの鉢の真柏の挿し木のテーマです。
これでその個所が少ししっかりしてきたら挿すという、なんだか果樹の実を熟したら収穫みたいな作業。
これをやっていると、松柏盆栽をやっているのに気が付くと果樹農家をやっているかのような錯覚に陥ります。
先日もおいしそうな真柏、採れたてです。
前から見るとそれなりのボリューム。横から見れば...
薄っぺら。裏に全く枝がありません。ま、枝ですから。
会の先輩が言っていましたが、こういうハリボテじみた樹を、魚の骨と言ってケナすそうですよ笑。
私の手にかかって、いったいどんな樹になるのでしょうか。
10年後が楽しみですね。
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