七輪焼きについて悩む、の巻
晴れた週末土曜日を利用して、また実家まで鉢を焼きに行ってきました。
うちの実家は東京23区の千葉との境。
すぐ近くを江戸川が流れています。
この川を境に東京都と千葉県が分かれます。
そしてそこは河川敷になっていて、子供の頃はここで、カニやザリガニをわんさか採りました。
捕まえ方、飼い方は、すべて母茂子が先生。
今は危なくないように工事されていますので、カニもザリガニも採れません。
子供の安全と引き換えに、子供の遊びは奪われました。
3時半頃炭に火がまわり始め、夜の7時過ぎまで、始めコトコト中パッパ、最後はボウボウな感じで、今回も手動の空気ポンプを使ってひいこらと焼きあげてみました。
一気に小鉢を14個も詰め込んだので、その分炭も多く、限界まで入れておきましたよ。
煙突代りの上の空気穴からも炭がしっかり見えるくらい。
でも、焼き上がりの頃にはその炭もほとんど残っていませんでした。
その残った極わずかな炭を使って茂子はお芋を焼いたのですが、少ない小さな炭で焼いたにもかかわらず、あっという間に芋はとろっとろに焼けてしまい、改めて炭火という火の質に驚く茂子とまことなのでした。
しかしですね、まわりの方々にその鉢を見ていただくにつけ、七輪焼きの鉢には常に、「ちゃんと焼けているの?」という疑問符が付いて回ることを実感しています。
自分の手応えとしては盆栽鉢として使うのに最低限必要な熱量は得て焼き締まっている感覚はあるのですが、あくまでも感覚、それを裏付けるものは全くありません。
この冬の一番寒い時期、外に置いて水をやっていたりしましたが、特に割れることもありませんでした。
その横では溜まった水が毎日凍っていましたが。
しかし、うちでは寒さで鉢が割れる経験自体ありませんし。
なので、それをもってどうこうと言えるのか、その辺は正直わからないのです。
また、焼いた鉢のいたるところに灰由来と思われる極薄い透明釉みたいなものがかかっているので、それなりの熱を得ているのはわかるのですが、以前一蒼さんに同じ土をガス窯で、1250度の還元で、釉鉢を焼くのと一緒に焼いていただいた焼き締めと比べると、七輪の鉢は水を良く吸います。
同じタイミングで水に漬けてその鉢内の乾き具合を比べてみると全然違います。
盆栽鉢の焼き締めを焼く際、特に朱泥なんかは、もっと低い温度で焼くようですし、また、還元と酸化では焼き締まり具合も違うそうですので、これも「しっかり焼けているの?」という質問に答えるのには、いまいち参考にして良いのか悪いのか・・・
更に私を混乱させるのは、樹を植えるという意味で、水をある程度吸う鉢の方が、いつまでも余計な水分をためずにいて木にも良いはずなのですが、寒さで鉢が割れるというのは鉢の水分が寒さで凍って膨張して割れるようで、じゃあ一体どれくらいの塩梅がいいの?ということです。
高温で焼き締められた鉢は時代ものりにくいようですし。
きつく焼き締めれば丈夫だけど水をあまり吸わないし、水を良く吸えば木の健康には良いけど冬の寒さで割れる可能性が・・・?
でも、水を良く吸っても、乾きやすければ凍らないのでは?
あれ、そういえば、冬の管理として、冬場の水やりは遅くにはやらないで、夜には余計な水分を残さないって習ったような?
あ~、頭の中が幹グネグネの真柏みたいになってきました。
でもですね、冒頭のお芋、わずかな炭火であっという間に全体がとろっとろに焼けたあたりを考えると、やっぱりガスや灯油や電熱線の熱とは、その質自体が違うものなのかなと考えてしまいます。
どなたか詳しい方、いらっしゃいますか?
鉢としての信用は、科学が苦手な詩人の私が無理に理屈を考えるなどしないで、これから自分で使っていったり、嬉しいことに私には寒~い北関東にお住まいの盆友もできましたので、その方にモニター?的に使っていただくなどして、そういった実体験のお話をしっかり参考にさせていただくことが一番かと考えます。
いずれ、溶けるかどうかで温度がわかる例のやつを試してみるのも良いです。
そうそう、今日清香会の勉強会に出席いたしまして、鉢作り歴の長いA藤会長に相談し、焼け具合を見ていただきました。
その結果、正確なところは何とも言えないが、見た限りだとちゃんと焼けている、とのことでした。
同時に、釉鉢を試して温度を確認する、というアドバイスという名の誘惑もいただきましたよ。
実は最近、本を読んだりして、釉薬について少しずつ勉強しているのです。
七輪で釉鉢を上手くできれば、私は誠福寺の名を捨てて、杉並の青閑となります。
そう、空襲の続く中でも山採りを楽しんでいたという変わり者ですね。
柴崎青閑の鉢には、七輪で焼いたものがあるそうです。
ちなみにA藤さんの窯はかなり特殊なガス窯で、七輪焼きに負けず劣らずの短い時間で釉が溶けるまで焼き上がるそうなのです。
七輪焼きの安心感のないイメージのひとつに、あまり時間がかからないという点がありますが、それを考えると、時間の短さという要素だけでその質を考えるのは違うようです。
あ~、難しい。
頭から湯気が出てきたので、焼いたものを少し。
六角鉢はボチボチな感じで焼き上がってくれました。
これ、別の面から見ると、
炭に直接触れていた面はこんな感じで荒々しい。
好きな方向から使いましょう。
でも、良い感じです。
同じ粘土でも、こちらは酸化が強かったのでしょうか、
かなり赤味が強く仕上がっています。
いろいろあるのですが、それはまたの機会にでも。
七輪鉢が商品として流通しにくい理由もその辺にあるかも。
長年使い込まれて結果として「割れなかった」のなら
お客さんも業者さんも安心して扱えるかもしれないけど、
「裏付けが出来るのが時間の流れだけ」っていうのはいかにも詩人らしい風情があるけど余りにも気が長過ぎる。
今後、まこっちゃんが七輪鉢をある程度形にして自分の商品として扱いたいと本気で思っているなら、
陶芸窯用の耐熱な温度計もあるし、そういうので客観的な数字を計る必要があるかも。
炎の色で○○○℃くらいかなっていう目安は確かにあるかもしれないけど、
「ちゃんと焼けてるの?」って毎回訊かれるってことは、訊く人も「ちゃんと焼かれてる裏付けが欲しい」って事だし、
それを伝えるのに一番手っ取り早い方法は温度を伝える事だしね。
使う土の成分も関係してくるから、温度だけでは丈夫さの裏付けにはならないけどね。
でも、目安になる温度をちゃんと計る事が出来れば、その後も色々工夫したり、焼き方というか手法を変えたいと思た時にもある程度の基準になるから楽に出来そうだしね。
ちなみに、私もまこっちゃんの七輪鉢は充分すぎる位火が通ってると思います。
「あんなに硬くて薄い鉢、ガス窯でも無理かも」と思う程ですよ。
by 小春 (2012-03-05 00:30)
はうっ
この酸化どストライク・・・
最高過ぎます。
もっともっと!!
まことさんの渋好みセンス的には何植えたいですか~
私は文人の真柏なんか・・・
普通すぎますか?
やはり焼きしめの鉢は松柏が植わることが多いので、
余分な水分は抜けやすく、
乾きぎみになり易くするためですかね~
私の棚場は一番寒い時期、
皆凍りましたが鉢は割れませんでしたね~
高いのが割れたら嫌ですね~
by 盆栽少年 (2012-03-05 18:30)
今晩は。
お悩みの種を聞いて飛んできましたよっと♪
私の少ない経験では、きちんと焼かれていると思います。
むしろ高温になりすぎる場合もありますしね。
釉薬の件ですが、以前織部(高温織部)を試しましたらちゃんと溶けてました。
また、南蛮土での焼成の際は高温による鉢の歪み(半端なく歪みましたね)もありました。
ただ、まことさんも感じている事と思いますが、焼成時間の短さなんです。
この短時間で果たして本当に焼き締められているのだろうか?という疑問は私も当初抱いてましたね。
温度についてはゼーゲルコーン等を使えば確かな数値は判明するでしょう(まず焼き物としての数値はクリアしていると思いますよ)
個人的な想像ですが、七輪の火ってある種、独特なんじゃないかな?と私の場合、ミステリアスな部分も敢えて残してますね~♪
因みに、私の焼いた焼締めですが、この厳しい冬にほぼ毎日凍てつきましたが何事も無く丈夫であります(笑)
by 相州御浦 (2012-03-05 19:14)
今回の鉢も良い感じですね
さて寒さで鉢が割れる?
ウチの辺りでも安い中国鉢は割れる事がありますよ
でも今の中国鉢はかなりよく出来ているので余り割れませんけど
冬場の置き場所にもよると思いますし
今のところ小さな鉢が寒さで割れたという事はありませんよ
何か協力できる事がありましたら協力しますよ
では次回の作品も楽しみにしてます
by よしゆき (2012-03-05 20:03)
まことさん こんばんは
この六角を七輪焼成するという記事を読んだ時
それだけはやめたほうが・・・・とコメしようと迷ったけど
しなくて良かったわ
この焼け具合にはびっくり いい鉢になったじゃないですか^^
焼き具合を悩まれてるようですが
指ではじいてどんな音がします?
チーンと高温なら「良く焼き」だし鈍い音なら「甘い」
ちょっと足なんか組んで鉢をはじき「良く焼けてるね~」
なんてかっこよく言ってみましょうね
なんて冗談まじりでごめんなさい
七輪焼成のことはよくわからないのですが
焼成時間が短いことがガスや電気と大きく違う点ですね
例えば壱興窯はガスですが1000~1200に6時間はかかります
それを七輪では数時間でやってしまうわけですから
表面上は焼けているような色でも中が白く均一に焼けてない
ものもあるかもしれません
でもそれがダメってことじゃないですよ割れることにも関係ありません
低い温度のだ音鉢だってよく乾いて育成にはいいのです
まことさんが実験してよく乾くということならそれがその鉢の
特長だからそうお客さんに説明すればいいのです
よく焼けてるの?なんて聞く人はしろうとさんです
焼きしまっているより甘い方がよく乾くってことをわかってる人は
その用途に合わせて鉢を選ぶはずです
乾く鉢がいいって言われる方もいますし
それからご心配の鉢が割れることですが
七輪で焼きが甘いから割れるってことはないはずです
凍てて割れるのは植替えしてなくて根が回ってパンパンな状態が
凍って膨張に耐え切れずに割れることがあります
根が回ってない状態や鉢だけで置いてあれば凍っても
割れることはありません
もし割れたら元々亀裂があったはずです
割れるのは鉢の焼成の問題よりも
使っている間にちょっと当てたりしていてそれが原因で凍て割れする
って方が多いと思います
by みさき (2012-03-05 22:39)
小春さんへ
なんだかツンデレなコメントに癒しを感じてしまった・・・うそうそ笑。
そうね、確かに一度どれくらいの温度になっているか調べてみるのは面白いね。
それに、得体の知れない男が馴染みのない七輪焼きの鉢なんて作っているんだから、ちょっとくらい親切な目安を出せた方が良いし。
そのうち鉢裏には、「遺伝子組み換えでない」とか入れておかないとダメになりそうね笑。
七輪の鉢はズバリ、沢山作るには効率が悪いし、上がりを均一にするのは難しいし、流通しにくい理由というのはわんさかあると思うよ。
売店に出すというのにそんなものと格闘してる自分はちょっと馬鹿っぽいけど、逆にその辺が面白そうに思ってしまうんだよね。
飽きるまで、もうちょっと七輪の可能性を突き詰めてみます。
ありがとね。
by まこと (2012-03-05 22:58)
盆栽少年さんへ
もっともっと?
よ~し、じゃ、もっともっといっちゃうぞ!
・・・で、何を??
赤色の焼き締めには真柏って、合いますよね。
でも、何を植えるか考えると手放したくなくなるので、考えないことにします。
高い鉢、お気に入りの鉢は、冬の間、鉢のために保護しておくという方もいますよ。
ま、ものすごくお高い鉢を軒下に置きっ放しの方も知っていますが。
今日は忙しいから、新しい名前はおあずけです笑。
by まこと (2012-03-05 23:04)
相州御浦さんへ
あっ、相州マンだ!!
笑。
なるほど、貴重な経験談をありがとうございます。
私は1250度でもある程度耐えるとテストした朱、黒、白の自分ブレンド土を使っているせいか、鉢の形状によっては多少歪むものの、極端な歪みは今のところ経験がありません。
一度極限まで火力を上げてみようかしら笑?
毎日のように凍って割れないというのも経験済みなのですね。
やはり炭の火って、他の火と何か違うのかも知れませんね。
お米に入れておくとふっくら炊けるっていいますし。
え?関係ない?
何かしらの目安として、一度温度を測ってみるというのも良いかも知れませんね。
おそらくそれだけでは片付かないのでしょうが、やってみる価値はありそうです。
焼成時間の短さも、あれだけ浸透しやすい強い熱でほんの小さな空間を温めるのですから、おかしくないような気もします。
気になるのは、何十年か経ったあとの姿ですね~
by まこと (2012-03-05 23:07)
よしゆきさんへ
なんと、最近の中国鉢は強くなっているのですか。
私のまわりでも安い中国鉢はよく割れると耳にします。
行動範囲の狭い私は宇都宮までしか知らないのですが、市街地からは完全に外れているので、空気がかなり冷たいという印象があります。
こちらよりも全然寒かったです。
よしゆきさんのところでは冬に鉢が割れるということはそうないのですか?
ご協力をお願いします。
この前の鉢、今度お会いできる際に差し上げますので、普通に他の鉢と同じように使ってみてください。
焼成のデータというのも大切ですが、やはり実際に使ってみての結果をなるべく知っておきたいです。
by まこと (2012-03-05 23:08)
みさきさんへ
みさきさん、こんばんは~
止めようとしましたか笑。
ぼちぼち良い感じで焼けてますでしょ?
音ですが、ピンピンと、うちの他の鉢と比べてもそれほど鈍くはないと思いますが・・・なんていろいろ試していたら、とある作家さんのものでものすごく鈍い音がする鉢を見つけてしまいました笑。
そうなのです、私も中の方がどう焼けているのか一度目で見てみたいので、焼いた鉢をひとつ割ってみようかと考えているのです。
とにかく得体の知れない焼かれ方ですから、馴染みのない方にとってはいろいろ気になるのが当然なのでしょうね。
焼いている私にとってみても、多かれ少なかれ、そこは同じところがあるのですから。
この焼かれ方がどういった個性になるのか、色々な角度から検証してみることで新しい気付きがあるかも知れませんね。
しかし・・・こういった鉢を認知してもらうのは、一筋縄で行かなそうですね笑。
・・・我、山に向かいて 目を挙ぐ。
ふふふ笑。
凍て割れの件も、教えていただきありがとうございます。
鉢を作るのって楽しいですけど、売るのって、たいそう面倒臭いものなのですね(←注意)。
by まこと (2012-03-06 00:05)
六角鉢の焼きあがりがとても良い雰囲気ですね。
どの面を使うのか迷いますね(笑)。
確かに焼きについて色々と考えますよね。
人によっては焼きが甘い方が好きな方もいらっしゃいますし。
しばらく使ってみて様子を伺うというのも手かもしれませんね。
話を聞くと数年使って見る必要があるみたいですし。
私は今年の植え替えで自分の鉢をいくつか使ってみたので、
しばらく経過を見てみようかなと思っております。
それにしても自分の鉢に植えると、
さらにその木に愛着が増しますよね(笑)。
by otama (2012-03-06 00:09)
おひさしぶりです
何もわからない私からひとこと
とてもおいしそうに焼けましたね
お芋もね☆
by ぞを (2012-03-06 22:01)
こんにちは
ご連絡があります
超ミニ盆栽鉢同好会よりWEB展示会のお願いを
個別に皆さんに連絡しています
お手数ですが詳細がHPのトップページ上段にリンクされて
いますのでご覧ください
よろしくお願いします^^
by みさき (2012-03-07 14:12)
otamaさんへ
おそらく、根本の話としては七輪焼きの鉢というのがまだ認められていないという、この点になるのかと思います。
当然のことです。
これからもっと研究して、説得力のある鉢を作ろうと思います。
otamaさんの鉢は立派なので、それに見合った木を植えようとすると大変そうですね。
by まこと (2012-03-07 21:38)
ぞをさんへ
ぞをさん、こんばんは。
お久し振りです。
なんだかマニアックなお話でしょ笑?
そんなところを狙って?飛び込んで来ていただいたぞをさんには、残りの炭で焼いたお芋を・・・差し上げたいところですが、残念、お土産に持ち帰った分は自分でしっかりいただいちゃいました。
甘~くとろっとろでしたよ~
あ、お芋焼きながら、またヤカンを載せていました。
私の母は、火を見るととりあえずヤカンを載せたがる性格のようです笑。
by まこと (2012-03-07 21:39)
みさきさんへ
みさきさん、ご苦労様です。
了解しました。
後ほどお伺いいたします。
by まこと (2012-03-07 21:39)
鉢の今後の展開もとても楽しみですが、
茂子さんとの共同作業の今後の展開を期待しちゃうのは
私だけでしょうか?笑。
おいも美味しかっただろうな~。
やかん、私も置いちゃうかも。
ええ、昭和育ちですとも笑
私、昔は七輪で燻製とか作りましたよ(^▽^;)
by しずか (2012-03-07 23:18)
しずかさんへ
昭和育ちは石油ストーブの上にヤカンですね。
時々、芋や甘酒ものってましたよ笑。
茂子は今度、パートの時間が短くなるなどとぼやいてましたので、鉢作りを仕込んでやろうかと企んでいます。
初弟子?
それにしてもあれですね、燻製とはまたまた渋い。
渋好みというジャンルにおいて、しずかさんにはかないません・・・
by まこと (2012-03-08 00:41)