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第44回全国小品盆栽名品展の自分の席を全力で褒めるその凄まじさ

 9月の東京支部展は日本小品盆栽協会の東京支部が主催する展示会で、出展者は東京支部の会員となりますが、1月の全国小品盆栽名品展は日本小品盆栽協会本部の展示会で、展示者は、各支部の方及び個人会員となるので、いろいろな方が出展されます。

 その中で私などは本当に盆栽歴の浅い、年も若い部類になるので、展示に参加するというだけで当然、それなりに緊張してしまうところがあります。2回目の出展となる今年も緊張しましたが、どうにか逃げ切りました。←?

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 右側から、椿(出雲香)、姫乙女バラ、添配(香炉)、真柏、姫月見草、雀の槍、南天。

 改めて写真で自分の席を見て、きれいだな、と思っています。

 それぞれ個々の鉢合わせだけでなく、全体で見た時の色合いの美しさにもこだわってみました。そこに自分の感覚がよく表れたと思います。当然、ただ派手さを求めたわけではありません。

 とにかく、薄っぺらく聞こえるかも知れませんが、ぱっと見できれいだと思っていただけることをまず第1の目標としました。それがこの数年の経験の結果として、今の自分にできるのかどうかが知りたかったからです。

 また、9月の支部展の際にT屋さんから、それぞれの樹の流れの角度をそろえると、写真になった時も全体がきれいに見えると教わったので、今回それを実行してみました。真柏と南天、それに姫月見草の枯れた軸の流れの角度まで揃えてあります。お話を伺った際は、そこまで気を配るかぁ~と驚きましたが、うん、実際、確かにきれいに見えます。

 さらに今回気付いた点が。

 中央の棚の脇に来るもの(ここで言うと香炉、雀の槍)を小さいものや、重心の低いものにして、その脇にもう少し高さのあるものを配すと、何故かバランスが良くなる気がしたのです。

 高低差にメリハリが付くからか、一点透視図法のようなラインが出来て奥行きが感じられるようになるせいか、よくわかりませんが、そうしたほうが良くなるというのを家でのリハーサルで感じたのでそのようにしました。

 それで、テーマ的なものですが、まだ2回目の名品展ですので、シンプルに「新春らしさにこだわる」ということにしました。香炉の添配を使うことで、床の間の舞台装置なしで床の間を連想できるよう、演出を意図してみました。 

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 椿は新春の飾りにふさわしい樹ですね。こちらは出雲香という椿です。小さくても咲くようで、会場でも、会期中多くの方からこの椿について尋ねられたと会場係の先輩から伺いました。去年の国風展の時に豆松屋さんでポット苗を買いました。欲しい方は、豆松屋さんで、「まこっちゃんと同じ椿、ちょーだい!!」と聞いてみてください。

 鉢はこの樹用に鬼面足を作りました。ま、角のない人面足ですけど笑。展示会前にこの鉢へ移すことになってしまい、その関係上太根を切れず、このような植え付けになってしまいましたが、本来はもっと右に寄せて植え付けるべきところです。

 鉢合わせに関しては、この、いかにも女性的な花の樹をあえて男性的な足の鉢に植えることで、きれいな女性がデニムのつなぎを着るような、そんな色気を狙っています。←?

 また、鬼面は悪いものを追い払うものですから、年初めの飾りにはピッタリかと。

 鉢の色は、花の色を考えたら天目か青磁系かなと思いましたが、席全体で考えてみたらこの青磁が良いと感じ、決めました。

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 こちらは姫乙女バラ。八重の花を咲かせるとても小型のバラです。挿し木からここまで来てくれました。何故だか今年は実がついてくれたので、さあ出番です。

 縁の広いこの自作鉢は、「帽子をひっくり返したようだ」とよく言われますが笑、鉢合わせも悪くないと思います。

  

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 香炉も自分で焼いたのかと尋ねられることが何度かありましたが、これは地元のお店で買った古いものです。一応、これから自分でも作ってみたいものは見本を手に入れておくようにしています。そのために入手しておいた香炉のうちのひとつです。

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 少し派手ですが、この香炉の緑は今回の飾りには欠かせない色合いなのです。また、四角い地板に統一せず、ここで丸い地板を使って変化をつけることで、堅苦しい印象になるのを避けています。これはT屋さんの飾りから盗んだ技です笑。地板はしずかさんに調達していただきました。ありがとうございます。

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 主木は百樹園さんの真柏。

 主木に使わせていただいたので見ていただこうと思ったら、体調を崩し、売店の出店をお休みでした。

 鉢は別の所で入手した作者の詳細不明の朱泥楕円手びねり。作りからしてどこかの趣味者の作のようですが味があり、ちゃんと使われていたようで古さもあります。アマチュアの鉢作りにこだわって鉢作りに取り組む私としましては、無名の作家の古くて良い鉢というものにはロマンを感じます。

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 右の雀の槍は飛び込みで、勝手に生えてきました。土の中ではスギナが春を待っています。そもそもスギナを植えた鉢なのです。扇形の鉢にポツンと飛び込みの雀の槍・・・この溢れんばかりのセンスが怖いです。色合いの鮮やかな飾りの中にちゃんと渋さを織り込むこの才能にめまいがします。

 扇の形は末広がり。これまた新春の飾りで良い役者となってくれました。

 南天は以前も書きましたが、よしゆきさんからずっと前にいただいたもので、自作の初絵鉢に入れました。「松竹梅&ドラえもん」の梅を正面に持って来て、同系色の濃淡で鉢合わせをしています。この鉢で、ドラを正面に持ってくるのはダメね。横に持ってくるチラリズムか、後ろにもってきて隠す背徳感プレイのほうが興奮します。←?

 南天は難転とあてる縁起ものですね。

 ああ、新春。

 とことん新春。

 新春さえあれば他に何もいりません。 

 と、まあ飾りについて、樹や鉢について書きだすとキリがありません。説明するのは野暮だと思いますが、そんな野暮を今あえてすることに意味を感じるところがあるので、意思をもってやっています。

 全体としましては、私には、たいした樹はありませんし、とにかく、樹にも鉢にも古さが足りません。でもそれは、これから枯らさずに持ち込んで、長くこの遊びを続けていくことでどうにかします。いろいろ背負ってしまっていますが、まだまだ歴の浅い入門者ですから。

 それぞれの人に、それぞれ違う才能が与えられて生きています。自分に与えられた才能を見出して、それを活かして遊ぶのが遊び上手だと思いますし、それができれば「楽しい」という感情が「喜び」に近いものになっていくんだと、そう思っています。

 これからまだまだ揉まれていろいろお勉強していきたいです。もっと良い飾りができるようになりたいです。だから、どなたか、東福寺を私にください。東福寺があればもっと良い飾りができます。

 どなたか、東福寺をください。                  


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