灯台モトクラシー ~五葉のタネから世界平和を~
うちの隣の茂子さんの家の裏には、2階建ての家くらいの高さの五葉松があります。あ、茂子さんというのはうちの大家さんですね。
その五葉松の生えている土地は、私も何度かお話したことのある茂子さんのお兄さんの持つアパートの敷地です。このあたりの昔の地主さん一家のようですね。もうおじいさんですが、アパートの敷地のとなりに立派なご自宅の庭を持ち、そこには桜やモミジ、赤松に桑など、たくさんの木が生えていて、お稲荷さんまであります。もう少ししたらお稲荷さんの鳥居に新しいしめ縄を付け替えるトンカチの音が響くはずです。
大掛かりな剪定以外はご自分で手入れしているようですし、落ち葉や雑草の掃除をしている姿もよく見かけます。
お話では、ほとんどが鳥の運んだタネから育った樹だそうです。
先日の東京支部の例会で五葉松を見たせいで、ちょっと五葉松が気になる年頃になってしまいました。ちょっと前まで松柏になんてそれほど興味がなかったくせに。
大人ぶっているのです。
枝に残るたくさんの松ぼっくりを見ながら、あれだけ松ぼっくりがついているのならタネのひとつやふたつ落ちていてもいいのに、と思いながらも自宅近所で不審な行動はできぬだろうと、探したくてもそこは大人としてグッとこらえていたのですが、まあ、茂子さんも、お兄さんも、二人とも私が盆栽を楽しんでいることは知っていますし、それを良い趣味だと感心してくれていますので、まずはまあ、散歩のフリをして、その五葉松が道路に面するあたりを調査してみました。
すると、あるではないですか、あるではないですか。
たくさんのタネが道路脇までこぼれていますよ。灯台モトクラシーとはこのことです。
まずは慌てず、深呼吸をして、一度家に戻ります。そしてビニール袋を手にして再び現場に戻り、そのあとは飢えたオオカミのようにひたすらタネを拾うまでです。
この時大切なのは、数々の不安をかき消すためにも己の主観だけを信じるという事です。客観性や冷静さは罪だと自らに言い聞かせます。この情熱が世界平和につながっているんだと暗示かけ、少し誇らしげに胸を張るくらいの気持ちで堂々とタネを拾うのです。
はい、実際はとても不安な気持ちでした。
なにはともあれ、たくさんのタネを拾う事ができました。風雨にさらされたままでしたのでちゃんと発芽するかはわかりませんが、タネを水に漬けながらひとつ、皮を剥いでみると、中味がちゃんと生きているのがわかりました。
この中から良さげな性のものがひとつでも生まれてくれたらいいですね。乾いてナンボの五葉松ですから、若木の10や20、30や40....大丈夫、管理もそれほど負担ではありませんよ、きっと。困ったちゃん五葉だって、接ぎ木の練習には必要ですからね。(名人というのは、観察する限り、みんな自分の接ぎ木の腕に自信があるようです笑)
と、先日の例会のT屋さんの話が思い出されます。五葉は性で見るもの。何年かすれば、盆栽のボの字もわからない頃の自分でもその違いが明らかになった。将来に見込みがないものは早めに処分しないと大変になる...とか。
まわりに迷惑をかけながらも、ダメ人間でもどうにかダメなりにやっとこさ生きてきた私にとって、妙に胸が痛む「コツ」なのでした。
せめて接ぎ木の台木として...
と、やさしそうな一面をさりげなくアピールして、私の更なる好感度アップを狙います。
まことさんこんにちは~
五葉松の種ですか、いいですね
私も5年くらい前に実生して以来(ミニ懸崖のアレですね)やっていないので
今年久しぶりに播いてみたんですが、見事に発芽しませんでしたorz
後で教わったのですが、五葉の種は黒松赤松と違って一度乾かしてしまうと
ガクンと発芽率が下がってしまうそうです
まことさんもお早めにまいた方が吉やも知れませんよ!
by 千令 (2010-12-04 18:06)
千令さんへ
なんと!五葉は乾くと発芽率がそんなに下がるのですか。
今年買ってきて実生した四国五葉が、芽出しが遅いなりにも
まあまあの発芽率だったもので、1日水に漬けた後乾かして、
のほほんと冷蔵庫に保存してましたよ。
早速まいてしまいましょう。
....しかし、何も生えていない鉢に半年近くも水をやり続けるって、
少し空しさを感じてしまうんですよね笑~。
最近やっと松柏に興味が出てきましたが、
ズ太い性格に見えて、案外繊細な面が多くあるんですね笑。
by まこと (2010-12-04 19:23)