東京支部の遠足と、素焼きの「輝」鉢。
今日8日は東京支部の遠足の日でした。今回は盆栽大野さんのところへ。
支部展、きらく会展と、大野さんの売店は皆散々覗いて買い物をしているはずなのに、飽きずにまだまだ探し当てる姿は、ちょっとひく程病的に思えて、心配になりました。
でも、やはり売店に並ぶのを見るのと、いろいろなものが棚に並んでいる園のほうを見るのでは違いますね。別腹、別腹。
皆、思い思いのものを選んでいたようです。
私が選んだもののひとつ。
S崎さんの鉢・・・になるはずだった、何故か素焼きのままのもの。
私がこの会に入会した時は今と違い、まわりは私の親ほどの歳の方ばかりで、そんな時でもS崎さんは私みたいなよくわからない新入りに絡んできてくれました。特別扱いではなく、他の方に対するのと同じように私に絡んできてくれました。
このブログでもS崎さんのことは何度も書きました。好きでしたね、あの人。背伸びしないで我が道を行くところ。格好つけないところが格好良かった。盆栽云々というより、まず樹が好きな人。S崎さんがいてくれたお陰で私の盆栽生活の始まりはとても楽しいものになりました。
鉢作りもやった方で、本人が削り出して、一蒼さんに焼いてもらっていたそうです。こたつで横になって、胸に新聞紙を敷いて削り出しなんてして、こたつのまわりを削りかすだらけにしていたという子供みたいなエピソードも。
トートバッグから出てきた極小のニレケヤキ、支部展でイチョウについて話す姿、霧吹き片手に展示品の乾きに気を配る姿、大宮盆栽祭でいつまでも売店をうろついていた時のこと、例会会場のトイレで話したこと、会報の取材でお宅へ伺った時のこと、ああ、キリがない。
そんなS崎さんが今年亡くなり、S崎さんの自作鉢が盆栽大野さんへ引き取られたのです。
今日大野さんのところでS崎さんの鉢の入ったカゴを見ていたら、ひとつだけ、どうも本焼きがまだのような、素焼きっぽいものを見付けたのです。
そのままにしておくわけにはいきませんよね。
私が引き取って、本焼きまで終わらせることにしました。最初で最後のコラボ鉢。
鉢裏に「輝」という落款の鉢を見付けたら、それはS崎さんの鉢。大切にしてあげてください。
苔取り
時々掃除をしていても、夏が終わる頃には多くの鉢の表面で苔やら雑草やらがワッショイワッショイと、我が物顔で青春を謳歌しています。また掃除しなくてはと考えても、一気にやろうとすると気が重くなるので、一日一鉢でもいいから、と考えるようにして、少しずつ進めています。小さな盆栽をやる方は自然と鉢数も多くなる傾向があるので、掃除するにも一苦労かと思います。
長いこと苔を茂らせておくと、土の中の状態が悪くなります。極端に乾けば灌水を表面が弾くようになったり、また多くは水が残りやすくなって、鉢の中の空気の供給が滞り、根の呼吸がうまくいかなくなります。根は水に溶け込んだ空気を水と一緒に吸収して酸素を取り入れているので、乾き過ぎても、水が滞っていても呼吸がうまくいかんのです。
長く悪い状態が続くと鉢内の根が死んできますが、案外多いのが、それでも表面の苔の中に新しい根を伸ばしていること。残された力で酸素を取り入れやすい地表近くに根を伸ばしているのでしょうか。いずれにしても、こうなる頃には地上部の成長が落ちていることがほとんどかと思います。
ここで勢い良く苔掃除などして、ギリギリのところで伸ばした根を苔ごと抜き取ってしまうと、これから気温が下がり活性の下がる一方の秋ではそのまま枯らしてしまうことに。
先日T屋さんもそんなお話をしていました。
なので苔掃除の時は、同時に樹の状態、根の状態に注意しています。
しかしながら、あっちこっちで苔だらけ。そして、大切な秋の肥料もやらなくては。地味な作業が続きます。
ちなみに今年、うちの棚では写真の草が大量に繁殖してしまっています。先端にタネの入ったサヤを作ります。
引っこ抜いていると、時々サヤが弾けてタネが飛び散り顔面に当たります。けっこうイラッとします。
ご丁寧にアブラムシまでついていました。頭にきたので草ごと食べてしまいました。危ない奴がいるとアブラムシもびびって、しばらくはうちの棚には寄り付かないでしょう。
ま、じっくりと退屈で大切な作業を進めていきましょう。