ぶらマコリ ~多摩川編~
今回から始まりました「ブラマコリ」。
初回は、いつかは行ってみたいと思っていた多摩川です。
訪れたのは10月の末のこと。
しばらく前のことになりますね。
その目的は?
最終的な目的は、将来私がもっと年を取った時に、若い連中が水石探しに行ってみたいとかなんとか言い出したら、ここぞとばかりに、
「なかなか見付からないもんだよ」
と苦い顔をして言う、ということ。
そのためには私も水石探しをしなくてはなりません。
そこで今回はその下見といいますか、実際石を探せる場所があるのかを見に行ってきました。
昔、講師が水石探しの話の際にチラリと口にした駅名をグーグルの航空写真で見て、石がたまっていそうな場所をチェックしてから出発です。
平成生まれの新人はそういうことができるのです(平成49年生まれ)。
さあ、土手で裸の大将みたいにおにぎりで腹ごしらえを済まし、ブ、ブ、ブ、ブラマコリの始まりなんだな。
私は東京と千葉の境を流れる江戸川のすぐそばで生まれ育ちましたので、河川敷に来るとテンションが上がります。
川沿いを、テキーラを飲みながら歩いていると、うらやましいくらいに実を付けたクコを発見。
クコの見事な実成りを見ていたら、だんだん石のことなどどうでもよくなってきました。
とりあえず実を採って、頬袋に隠しておきます。
自然に生えているのを見るのって、やっぱり良いですね。
ちょうど、人間の都合や好みに合わせて抑えつけられている樹を見るのにうんざりしていたところでした。←?
河川敷には他に、やはりノバラが多く生えていましたよ。
なかには珍しいノバラも。
ま・・・ノバラとしておきましょう。
やたら大輪ですけど。
で、水辺でもの思いにふけっていると、すぐ横の石かと思っていたものが、よくよく見ると、甲羅干ししている大きなミドリガメでした。
甲羅に時代がのっていました。
かなりの接写をしても動じることなく甲羅を干していました。
私ほど、危険な臭いのプンプンする人間がすぐ横にいるのに逃げないなんて、たいしたものだと思いつつ、さんざん写真を撮ってやりましたが、それにも飽きて、そっぽを向いてまわりの石を見ていたら、背後で急にジャボンと音がして、振り返ると、ミドリガメがものすごい焦りかたで必死に手足を動かして水の中へ逃げて行くところでした。
「反応遅過ぎ!」
と突っ込んでおきました。
そんなこんながありまして、気が付くと、石だらけの場所にたどり着きました。
わくわくするような眺めでした。
ちょっと水の流れているところを覗き込んでみると、小さな魚がたくさん泳いでいました。
この姿が私の中のプリミーティブな部分を激しく刺激してしまい、それこそ熊のように、思わず素手で水を突くように一撃くらわせて、水から上げた手の中には魚が2匹入っていました。
調子が良い時だったら一度で10匹はいける自信はありますけど。
今日のところはこれくらいにしといてやる。
そんな野性児がふと我に帰ると、もう夕暮れ時でした。
あたりが暗くなってきたら、急に自分が39歳だという事実が心に重くのしかかって来て、どうしようもない不安を覚えました。
私は一度大きく息を吐いたあと、乱れた七三分けを手櫛で丁寧に直し、人気のない河原を後にして家路につくのでした。
・・・あ、石を拾ってなかった。