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月に掛かる雲

私の友達で、ダンボールを素材として創作活動を行っている女性の作家さんがいます。
大人の世界の馬鹿らしい規範にとらわれず、見栄を張らずにさばさばとまっすぐに生きていて、信頼のできる人です。

その女性に以前、私の支部展の飾りの写真を見ていただいた時の話です。

八つ橋と呼ばれるこの長方形の二枚の板のセット。
私はこの地板を主に軽いもの、草や添配を置くのに使いますが、彼女はこの写真を見て第一声、
「敷物の板が月に掛かる雲みたい!!」
と興奮していました。
私はそんなこと、まったく考えていませんでしたから、なるほどと、次にこの鉢を使う時もまた八つ橋でいこうと、盆栽飾りを何も知らない人から見事に教えられたのでした。

でも、この話はそれだけでは終わりません。
その後少したった頃、何気なくテレビの番組表を見ていたら、「美の壺」のテーマが「棚」だったので、飾り棚とか床の間とか出てくると思い、興味が湧いて見たのです。
そうしたら、壁に月を模した丸い窓があり、その窓に、雲に見立てた違い棚が掛かるという、そんな床の間を紹介していまして…(画像 http://www.nhk.or.jp/tsubo/program/file290.html)そこに彼女の発想と同じものを感じ、やはり彼女は良い感覚をもった人だと、そう思いました。

知識と経験があるだけでは、それが重い鎧となってしまうことも。
素直な良い感覚を持っている人は、ものを知らなくても、その辺を時にひょいと飛び越えて驚かせてくれます。

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