国風展で研ぎ澄まされた私
遣唐使が廃止された後日本的な感性や美意識を反映した文化を、中国から輸入された唐風文化と対比して「国風文化」と呼ぶそうですが、最近読んだ茶の湯の本によると、「国風」という言葉は中国最古の詩集「詩経」の305編の詩が「国風」「雅(が)」「頌(しょう)」の3部門に分けられていて、「国風」は地方諸国の素朴な民謡、「雅」は周王朝の洗練された歌、「頌」は祭祀、つまり神を祭る儀式のための歌で、大昔の日本でも「国風」という言葉は土風・土俗の意味で使われていたが、江戸時代になって、漢詩に対して和歌を「国詩」「国風の詩」などと称したため、本来の意味から外れた、雅、王朝的といったニュアンスが付け加わったと解説する茶の湯研究の方の話が書いてありました。
そんなことはどうでも良いのですが、先日国風展に行ってきました。
国風展だけあって、ゴージャスな樹がずらりと並んでいました。
音楽でいえば、アルバム1枚を通してあるべき曲があるべき位置にある名盤、というよりも、ヒット曲ばかりを何十曲も集めたベスト盤、といったところでしょうか。
ラモーンズマニアは30曲入りです。
今回私は前もって見るべきところを1点に絞っていきました。
ずばり、鉢の胎土の色や質感です。
最終的に見終わる頃には目をつぶっていても何渡りの鉢かわかるようにまで私の感覚は研ぎ澄まされてしまいました。
グリーンクラブをまわり終わる頃には寒さが体の芯を通り越して私の魂すらも震えだすほどで、参りました。
それでも、収穫の多い国風展でした。