SSブログ

「37回東京支部展 小品盆栽フェスティバル」という名の村祭り

 搬出日が雨と強風にならずに終えることができました。

 第37回目の東京支部展が終わり、私も3回目の支部展参加をどうにか乗り越えたということになります。

 まず一番に自分の席を載せるのもどうかと思いますが笑・・・私の席です。

2013_0913_100134-DSCF7626.JPG

 左からモミジ、ギョリュウ、添配(蟹)、岩ヤツデ(丹頂草) 、吉田バラ。

 9月中旬といっても、どうせまだまだ暑いだろうと、今年は「涼」ということで、こんな飾りにしてみました。

2013_0913_132911-DSCF7692.JPG

 自分の飾ったものを自分であれこれこんな場で解説じみたことをするというのもどうかと思いもします。

 私は十数年程自分のバンドで作曲やらアレンジに熱中していましたが、作った曲の細かいところに私なりの意味や、意図する効果のための作為を込めはしても、聴く人にとっては正解も誤解もない、聴いた人が何を感じるかが全てだと思いましたし、すすんで舞台裏を口にするなんて、自分でそれが補足の必要なB級品だと言っているようなものだとも考え、口にすることもほとんどありませんでした。

 人間の感覚って、面白いんですよ。

 私が雨風の音をイメージしたパートを作ってその曲のテーマとなるように仕掛けておいたら、ある人が、数年経って、

 「あれ、石笛でしょ?」

 ですって。

 その人はそこに石笛のイメージを感じたみたいです笑。 

 でもですね、盆栽の飾りに関しては、今はそれじゃいけないと思うところがあり、なるべくブログ上で言葉にするようにしています。

 それは、小品盆栽飾りには、樹の姿を見るたのしさ以外にも、飾りを見るたのしさがあって、それがひとつの大きな魅力であるにもかかわらず、同時になじみのない方にとってはとても理解されにくい点だと思っているからです。

 実際私も小さい盆栽でそんなことするなんて、最初は知りませんでしたし。

 講師のT屋さんは、小品盆栽は園芸の中の俳句だと言っていました。

 限られた字数の中に季節を入れて、省くことによって書かれていない更に多くを含み得る表現・・・私はそんな風に受け止めています。

 私もまだ当然、理解なんてまったくできていませんが、そういった魅力もある遊びなのだということを、少しだけでも知っていただきたいと思い、胸の中である種の恥かしさがカラコロと鳴りながら転がっているのを感じつつ、自分の飾りを一度振り返ってみたいと思います。

2013_0913_100245-DSCF7630.JPG

 そもそも、今年は飾りたいと思う松柏がなくて困りました。

 飾る時、まずは主木から決めると組み立てやすいと教わりました。

 主木といえば飾りの主役、スタンダードは松柏ですね。

 それが決まらずにけっこう悩んだのです。

 決まらなかったというより、樹がなかったというのが正確ですね。       

2013_0913_100342-DSCF7633.JPG

 悩んでいるうちに、決まらないなら主木に松柏という考えを一旦捨ててみようと考え始めました。

 ないならないで、ないなりに。

 夏という季節を軸に飾ると考えていましたので、自分で真っ直ぐの棒の挿し木から作ったギョリュウを使ってみようと思い始めます。

 ギョリュウは漢字で書くと、木ヘンに聖でギョ、柳でリュウ。

 盆栽では、いつからかは知りませんが、昔からこの樹を柳の枝垂れる姿のように見立ててたのしむみたいです。

 こんなものを見ても涼しくなるはずないのにね。

 暑いものは暑い!

 立ち上がりからの緩やかな曲以外は針金を使わずハサミなどで曲を作ったので、細幹に似合う良い曲になったと思います。

 会場にいらしていただいた方は、今年の支部展でも、ギョリュウを使っている方が他にもいらっしゃったのをご覧になったかと思います。

 先輩方の樹に比べると、明らかに私の樹は若いですね。

 でも、ここまで自分で作るのに精一杯やりました。

 良い樹になったと思っています。

 これから枯らさずに古くなってくれたら嬉しいです。 

2013_0915_112432-DSCF7809.JPG

 そのギョリュウの枝垂れた枝先が少し懸かる足元には水盤があって、そこに蟹の添配を2匹配してみました。 

2013_0915_112510-DSCF7811.JPG  

 水盤の釉に浮かんだ景色を水の姿に見立てて、砂を敷いて岸辺を作りました。 

2013_0913_100404-DSCF7635.JPG

 その脇には、私が以前東京支部の大先輩のT田さんにいただいた粘土で成形して一蒼さんに焼いていただいた焼き締め鉢に入った岩ヤツデを。

 焼き締めに入った松柏を使っていたら同じく焼き締めに入ったこの岩ヤツデを使うのをちょっとためらったでしょうね。

 そういった意味でまさに出番だったのでしょう。 

 その岩ヤツデも、私が会に入会するかしないかの頃、先輩のHさんにいただいた大きい株を分けたもの。

 う~ん、いただきものばかり笑。

 株分けしたいくつかは、しばらく前に例会へ持って行ったので、今頃どなたかの棚にあるのだと思います。

 岩ヤツデは山根景子さんも、「花もきれいですが、花後茂った葉はヤツデのようで、夏、青々として涼味があり、たいへんきれいなもの」と書いていますが、その涼味とやらを狙ってみました。

 実際私の席の中で、岩ヤツデが一番良い葉色だったのではないでしょうか・・・ある意味悲しいところです笑。

 飾る前に、一番大きな葉を1枚だけ切りました。

 全体の葉の大きさを見て、バランスがとれるように。

 あと、欲張って1点花実も加えたく思い、川っぺりにまだ青い実をつけたバラを置いてみました。  

2013_0915_112549-DSCF7813.JPG

 本当は実よりも、何か、素朴な花が咲いているものを持って来たほうが、より軽い飾りになったと思うのですが、そうはうまくいきません。

 うまくいかないから楽しいのだと、自分にしっかり言い聞かせる。

 樹自体はまだまだの樹ですね。

 これからどんどん姿が変わっていくかと思います。

 ところでこの樹、最終日の朝に葉を1枚切ってみたのですが、その方が良かったですね。

 ↓切る前。 

2013_0913_100428-DSCF7637.JPG

 小さい樹は、葉1枚取るか取らないかで、随分と印象が変わります。

 これらのことが、講師始め会の方々に相談、アドバイスを受けながら出来上がっていきました。
 私ひとりの力ではとてもできなかった飾りです。

 そして、最後まで悩み通したこともあります。

 配置に関してある考えがあって、それを意識していたのですが、でも、結果そこに頭デッカチになり過ぎて配置のバランスが少し狂ったように思わなくもないのです。

 でも、試さないとスッキリしないですし、それはそれで良かったのかな?

 会場で褒めていただいたところは有難く受け取り、今回教えていただいたところや課題はまた次回に活かせるようにして・・・さあさあ、次の展示、カモン!!


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。