鉢作りのお供
最近のお気に入りは、鉢作りをしながら小説の朗読を聴くこと。
もともと小説、日本のでしたらとりわけ昔の短編ものなどが好きでしたが、ここ数年はまったく読んでいませんでした。
そういえば以前、日本小品盆栽協会の他の支部の長老と電車で帰りを途中までご一緒した際に、私の最寄駅を尋ねられ、
「荻窪のほうです」
と答えると、
「それは良いところに。あのあたりはね、昭和の初めに文学者やら芸術家やらがたくさん住んでいてね・・・」
なんてことを話してくださいましたっけ。
私は20歳頃にこの土地へ越してきましたが、この場所を選んだ理由はそこでした。
このあたりの土地を舞台に昔のモノ書きの人達が残したエピソードを読んだりしていて、そこに内心憧れていたようです。
例えば当時バンドマンが住みたがるのは、まずは下北沢、そして別の部類では高円寺が多かったのですが、下北だとなんだかお洒落でハイセンスを気取っているようで私の羞恥心が許さず(←偏見)、高円寺だと1年中ライダースの皮ジャンを着ていなくてはならないし(←偏見)、私は住もうと考えたことがありませんでした。
結局ダメ人間としてバンド活動しながらも、気持ちのどこかではいつも昔の困ったちゃんのモノ書き達の生き方に親しみを持っていたように思いますし、なのでなんとなくこの場所を選んだのも、そのまま気に入って居ついてしまったのも、自然なことなのかも。
そんなつまらない話はいいとして、確か20代前半の頃一時期、よく芥川龍之介を読んでいた記憶がありますが、YouTubeに読んだ記憶のないもの、読んだけども忘れてしまっているものなど、彼の作品の朗読がいろいろあったので、ここしばらくは鉢作りのお供として、かなりたのしませてもらえました。
鉢作りには、音楽を流すよりも朗読のほうが合う気がします。
そうそう、頭がその表現や物語を追っていても、手の邪魔はしないものなのですね。
で、その芥川龍之介の「戯作三昧」。
よくもここまで表現できるものだと、なんだか感動してしまいました。
ま、書いた本人は不満顔なのかも知れませんけど笑。