サイカチはバカ息子
我が家で最後のカラマツが、さよならも言わずに星となりました。
水切れもしていないのに、突然葉がチリチリに。
さすがにこのヒューミッドな東京砂漠では長く生きていけないのでしょうか。
「もっと強くなれ!」
そう吐き捨てながら、ぐっと涙をこらえる夏の終わりなのであった。
ところで、今日は久々にサイカチ。
4年ほど前にサイカチという樹に興味を持ってタネをまいたのですが、この樹はとても丈夫なのです。
水切れして葉を落としても、幹は死なずに必ずまた葉を出してくるのです。
しかしだね・・・
このサイカチ、今のところどう頑張ってもいつか良くなる気がしないのです。
枝を切れば、その枝の途中からでなしにその枝の元から芽を吹いてしまうし、
針金を掛けてもすぐ戻ってしまうのです。
これから試してみようと思うのは、まず、鉢をさらに小さくして管理すること。
剪定しても駄目なら、枝を伸ばせないくらいに小さな鉢へ入れてしまうことしか思いつきません。
あと、どうにか面白くなりそうなところを見付けて挿し木を試すこと。
実生苗なのでどうしても最初の芽ツボまで距離があり、そこをどうにかしたいと針金で矯正しようとして、結局傷だけ付けて曲は付かないことが多く、そんなのにもう、うんざりしてしまいました。
なので、少しでも枝分かれのあるところを挿してみて、どうにかなるか考えてみようかと思います。
ただ、実生の苗がたくさんあるせいで今までこの樹の挿し木はやったことがありませんので、つくのかどうかはわかりませんけど。
あと、今年は枝を切らずに管理しています。
来年の春に切ればまた違った結果なのかも・・・と、淡い希望を胸に。
この樹に関しては、運良くついたハサミの曲を活かして作ってみたいです。
とにかく今年はこのまま伸ばさせて、来年の植え替えで鉢を、お願いもうやめて!ってくらいにキュウキュウに締めて、曲のところの枝に立て替えてみます。
でも待てよ?
そんなことやってたら、雑木のくせに1年に1曲しか作れないの・・・?
だんだん自分がやっていることが不安になってきました。
私がやっていることは何か間違っているのだろうか。
いいや、もしかして、もしかしてだ、私の人生自体が根本的に間違いなのかも知れない。
ストップ、ストップ。
サイカチだよ。
私はサイカチについて考えているのだよ。
サイカチと私の人生は別だからね。
もちろん、「サイカチこそ我が人生」などと言うのなら、大いに不安になれ、まことよ。
この樹はそもそも、盆栽趣味というよりも、当時の実生趣味の結果で、たまたま公園に落ちていた巨大な豆のサヤを発見した際に少し調べて、
「果実は樹上に多数ぶら下がり、木枯らしの風にからから鳴ってゆれる」
とあった解説が気に入って、実は無理でも寒樹をたのしむことって出来ないかなぁ、と考えてしまったのです。
そこが苦労の始まり。
この樹には、枝が変形したという立派なトゲが出るのです。
タネを拾った公園の樹にも、ひいてしまうほどのエゲツない大きなトゲが。
うちの樹にも、ボチボチ生意気なトゲが。
こんなトゲも、この先どうなるのか、ちょっとたのしみではあるのです。
場所もないのにこんなヘンテコな樹をいくつも育てていて、時々そんな自分に愛想を尽かしてしまいそうになります。
だったらまともなピラカンサの1本くらい持てばいいのに。
そしてそんな気持ちがサイカチにも伝わり、余計にひねくれていくのです。
「モウ沢山ダ。俺ヲ公園ヘ帰シテクレ!」