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五葉松の胴吹き

 去年もそうだった記憶がありますが、夏になってうちの棚に蜂が一匹、頻繁に来ます。

 以前は巣を作るためでしょうか、日除けのすだれをカリカリと音をたてながら噛み削っていましたが、今では2~3分おきに来ては水を飲むだけで帰ります。

 すだれを噛み削られていた際には私もムカっとして、人間様の恐ろしさを教えてやろうとばかりに、何度か畜圧式の大きな噴霧器で霧を吹き付けたりしましたが、羽根が濡れて飛べなくなり、盆栽の枝の上でモゾモゾと気持ち悪そうにしている姿にちょっと胸がキュンとして、またそれでもめげずにうちへ通って来るけなげさに不本意ながら情も湧いてしまい、また、水汲みに必死なその姿が他人事とも思えず、小さな盆栽をやらない人々にとっては私の姿も、数分おきに水場に通うこの蜂のように映るのではないかと、不安の混じった憐みの情も感じてしまわないわけでなく、

 「いや、私のような盆栽名人とこんな虫けらに通ずるものなど」 

 などとそれを打ち消そうとはするものの、かなわず、それ以来、この世に怖いものなど何もないタフガイの私ですが、いきなり唸る羽音を響かせて現れる姿にほんの少しだけ飛び退いてビビりながらも見て見ぬ振りをし、好きにさせている次第です。

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 写真がブレているのは、近くでカメラをかまえるのにビビっている風を表現してみたからです。

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 あくまでも演出です。

 当然です。 

 さてさて、しばらく前からあちらこちらで、五葉松が葉の無い所から芽を吹いています。

 よしゆきさんからいただいた五葉松にも、ほらね。

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 抑えきれないエネルギーの闇雲な放出・・・若さの持つ特権なのである。

 昨日20歳の誕生日を迎えたばかりの私にはよくわかるのです。

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 こちらは私が、確か初めて買った五葉松だったような。

 大宮の盆栽祭りで、恐らく今考えれば業者さんではなかったのではないかと思いますが、そのおじさんから、実生して10年は経っているよ、というのを500円で売ってもらったのです。

 別れ際に、

 「いい?吾妻五葉っていうんだからね」

 と念を押されたのを妙に覚えています。

 うちに来て3年ほどが経ちましたが、私の不注意で付けてしまった針金の傷もだいぶ治り、どこか枝を切らないといけなそうなくらいに枝葉も茂り、おまけに幹の元の方の肌が割れてきました。

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 この五葉松にも、

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 枝元にポツリと芽吹きが。

 この五葉松を手に取る度に、今後どうするかを決めて、枝葉を透かしていかないといけないなぁと考えるのですが、やはり松の枝を切るのは迷います。

 でも、もう茂り過ぎて、埋もれて成長できていない枝もありますから、どうにかしてあげないと。

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 こんなちっこい五葉松も、カラカラになりつつも芽を吹き、元気なんだか息も絶え絶えなんだかわかりませんが、とりあえず生きてくれています。

 五葉松って、じっくり持ち込んでナンボのイメージです。

 とにかく枯らさずに、40年ほど様子を見てみます。


タグ:五葉松

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