日本小品盆栽協会東京支部 真柏踊る2月の例会
先日12日、日本小品盆栽協会東京支部2月の例会がありました。
講師は清香会の会長でもあるA藤さんにお願いし、テーマはズバリ、「真柏入門」。
東京支部に多くたむろする盆栽初心者のために、憧れの真柏について、基礎からみっちりと学べる場を作っていただきました。
A藤さんの真柏にかける情熱はものすごく、真柏のために家族を泣かせたとか、泣かせていないとか・・・いいえ、泣かせていません笑。
私を含め、思春期真っ盛りの新人初心者どもにとってみたら、手にしてはみたけれど、これからどうしていけば良いの?と、そうなってしまいやすい樹種かもしれませんね、真柏って。
どこか取っ付きにくそうな雰囲気。
「取っ付きにくい」→威厳があったり無愛想であったりして親しみが持てないようす。
・・・威厳といえば。
桧科の深山柏槇(ミヤマビャクシン)を盆栽界では真柏と呼ぶようです。
「中国の思想で、一年中緑の濃い松柏を尊ぶ思想がありまして、その、神宿る樹である松柏の王様。いわゆる、真の柏であると、そういう思想から、盆栽界では、真柏と」
う~ん、真柏って、とても偉いんですね(←ちょっと馬鹿)。
明治20年頃、石鎚山、剱岳で山採りされて、白く捻転するジン・シャリに絡んだ緑のあまりのすごさに、それまで、五葉松、黒松、赤松が幅を利かせていた盆栽界で、大変なブームとなったそうです。
そこで、真柏は金になると、血に飢えた山採り狼が金の臭いを嗅ぎつけ、全国で真柏探しが始まったんだとか。
そんな中、明治の末、新潟の黒姫山からすばらしい葉性の真柏が現れ、それを、そばを流れる川の名であり、地名でもある糸魚川という名をつけて、糸魚川性、と呼ぶようになったそうです。
でも、その後どこから採れたものでも葉性が良ければ糸魚川性として売られたため、本当の糸魚川性かどうかというのは、アテにならないようで。
ちなみにA藤さんが盆栽を始めた20代の頃持っていた真柏は、紀州真柏。
当時、糸魚川と言われる真柏のただの素材が1万5000円、大学出の初任給と同じだったそうです。
その上、本当の糸魚川かどうかもわからない。
とても手が出なかったんですって。
でも、紀州真柏なら2、300円、高くても500円だったそうです。
なので糸魚川性はずっと我慢・・・
そして今から25年ほど前、葉性の良い、例の給料1カ月分の真柏を持つ知人のもとをA藤さんが訪れ、
「しんぱく、ちょ~だい?」
と言ったら、
「うん、あ~げる!」
と、ただでいただいたそうです笑。
その頃にはもう、それほどの値が付かなくなっていたのですね。
たくさん増やせますから。
さてさて、そんな講師のほろ苦い真柏メモリーから始まり、真柏作りの基礎をしっかりと教えていただきました。
私も真柏は始めたばかりですので、これからいろいろ経験を重ねていきたいです。
真柏って・・・これから東京支部の新人狼たちは、どんな真柏を作っていくのでしょうね。
私の感じる限り、大きな盆栽展で見る小品の真柏と、日本小品盆栽協会周辺で見る小品の真柏、趣向がちょっと違うことが少なくないようです。
ご近所の武蔵野北支部の展示会にお邪魔した際にも、地表をうねるような個性的な真柏がありましたっけ。
真柏に興味無しの私が初めて真柏に心を動かされた真柏、これもいわゆる世間一般の小品の真柏とは趣が違いました。
それぞれがこれからどんな真柏を作っていくのか、個性が出て、ちょっと面白そうです。
真柏、万歳!
それで、ちょっとオマケ。
役員会で、今年の行事を少し話し合いました。
多くの新人を迎えているということで、先輩方も考えてくださっています。
今年は春と秋に、長~いリムジンに乗って、みんなで素材探しの旅とかできそうですよ。
お楽しみに。