山野草展へ、武者修行の旅
先週末に、上野グリーンクラブの山野草展示即売会へ武者修行に行って来ました。
根津の駅を降りるといつも思いますが、細い路地の通る小さな区画に新しく高い建物を建てたビル群が、その細さを競い合っています。
どこかのタイミングでそうでもしないと、いずれ他人の手に渡ってしまうのでしょう。
魂の中以外に財産を持たぬ主義の私にはわからない世界です。
このあたりには、関東大震災や、空襲の被害を逃れた古い家屋が残ると聞き、以前このあたりを半日散歩したことがありますが、その時見た古い建物も数年のうちに姿を変えていくのでしょうか?
自分には関係無いと思っていても、変なところで関係してくるのがこの世のおかしなところ。地価云々、税金云々で、グリーンクラブがなくなってしまったら私、何を信じて生きていったらよいのでしょう。
そんなグリーンクラブは、なかなかの人出でした。
山野草の業者さんが、所狭しとよくわからない草を並べています。たったひと株の草に何千円なんて値札が付いていると、
「バッカじゃないの?」
と呟いてしまいそうになりますが、よく考えれば小品盆栽だって同じようなものですね。
ひん曲った小さな樹に何千、何万だなんて、バッカじゃないの?
くくく笑。
でもでも、実際そうでしたよ。展示会に通い始めた頃なんて、当然この世界の価値観なんてわかっているはずもありませんから、価値観といえば、ホームセンターのそれなわけで。
そんな素人にお金を使ってもらうには、業者さんや玄人さんがある程度新入りさんを育てなくてはならないのでしょうね。
さあさあ、遠慮なくこの私を育てておくれ。
そういえばこの日、とある知り合いの業者さんにうかがった話では、大宮の盆栽祭りでは、過去最高の売上を記録したとか。へぇ~。
即売会場は山野草業者さんで一杯でしたが、奥の方ではグリーンクラブの売店もあって、樹もいろいろ並んでいました。
モミジの品種いろいろコーナー。見ていて楽しいですが、私はただ見て過ぎます。
建物の中は展示です。
こんな感じで。噂のヤブレガサですね。雨が降ってない時に使います。
不気味・・・こういう飛び道具的な花をつける、その根性が気に入りません。
カマキリの卵を発見。会場内で孵化したら楽しくなりますね。
「○○さ~ん!お宅のカマキリ、どうにかしてよ~!」
思い起こせば私、子供の頃、夏休みに宇都宮の祖父の家に行き、カマキリの卵をこっそり持ち帰って、それを車の中に置き忘れたら、数日後、うちの車の中が小さなカマキリだらけになってました。
今思い返してもその景色、とてもファンシーでしたね。子供心に理想郷を見た思いでしたよ。
あとはこんな大皿料理もありました。
大家族にはもってこいです。
でも、大皿料理はどれだけ食べたかわからなくなるから太るらしいですよ笑。
これは雲竜カラタチ。
うちにも小さいのがひと株あります。ひと昔前、柑橘類を集めてたのですね。
挿し木も結構うまくいって、少し増やしたのですが、去年だいぶ調子を崩してしまい、もう、元気のないひと株が残るだけとなってしまいました。
小さいと実成りは期待できないのかと思いますが(そもそも、実生苗では相当年をとらないと実をつけないのでしょうが・・・)、調子が良いと秋の葉っぱが赤やら黄色に変わって、けっこうキレイでした。
柑橘類で唯一落葉する樹じゃなかったでしたっけ。
昔はカラタチを生垣によく使ったと読んだことがあります。今でも町で2軒ほど、カラタチの生け垣のある家を知っていますが、その暴力的なまでのトゲに、本業が泥棒の私もさすがに忍び込めませんでした。
これはクロジクカリヤス。
以前、東京支部の例会にS崎さんが、小鉢に植えたクロジクカリヤスを持って来ていました。
節のある細い茎がツンと立っていて、とても雰囲気のある鉢でした。茎の皮をむいておくと、茎が黒くなって、おもしろさが出るんですって。
そんなこんなの山野草展でしたが、買い物はズバリ、以前から狙っていたもの。
屋久島ススキ。
私はススキを手に入れるために、はるばるここまで来たのです。
なのでススキを3鉢のみのお買いものでした。
小さいままで穂がなるらしいです。でも、ちょっとほぐしてみたら、さすがに根元で冬を越すススキだけあって、根から根元がしっかりしてますね。
このまま小鉢に株分けするのは一寸ひと苦労のようです。
そんな体たらくで、
南風を従えた私の休日が
草葉の隙間で韻を踏んで
記憶の中に鮮やぐのでした
あ、ついつい詩人になっちゃった。