飼い慣らされかけた私の、ギリギリの冒険談
数日前に美容院へ行ってカットしてきましたが、いきなり頭皮チェックを誘われました。
よくテレビとかでやる、あのスコープ的なものを使って画面に頭皮を拡大したものを映すヤツですね。
暑くなって汚れた頭皮を叩きつけるように見せられて、ヘッドスパを誘われる、というドラマの主役に抜擢されたわけです笑。
ちょっと見てみたい~。でも怖い~。
そんな揺れる気持ちの中、結局見せていただくと、私の頭皮、皮脂の詰まりもなくとてもきれいで、美容師さんも驚いていました。
でも、頭皮って拡大して見ると、キモチ悪い。
「何かケア、されてるんですか?」って?
当り前さ。毎日盆栽のマイナスイオンを浴びまくってるからね。
そんな自分の頭皮がちょっと誇らしい新人ボンサイダーが、今日も戦慄と感動の盆栽物語をお送りいたします。
先日の武蔵野北支部の展示会ですが、会員さんが持ち寄った物の即売がありまして、事情通のベテランボンサイダーはやはり、初日の朝イチを狙って行くのですね。
グズグズの人生を生きる私には、なかなかそれができません。
お昼時にゆっくりと到着です。
入口で皆さんにご挨拶すると、先の本部の交換会でこの展示会へお誘いくださっていた、本業が美術大学のお絵描き教授の会長が、
「お~来てくれたね~」と声をかけてきてくれ、ハイタッチを求められました。へ~イ!へ~イ!
早速展示を拝見させていただくとすぐ、
「ほら、とりあえず座ってお茶をどうぞ」
と、いきなり私の熱心さの腰を折ります。いえいえ、その後ずっと会場にいてわかりましたが、お客さんが来ると必ず会長自らがお茶を勧めているのですね。
これは、日本小品盆栽協会会則第1条、
「旅人は厚くもてなすベシ」
に基づいた行いです。
・・・まず、ここまでで2カ所、勝手な脚色があります。
でも、そんな会長の、女性的とでも言うべき気配りを初めて見て、この人モテたのではないかしら?と、勝手に思ってしまいました。
さて、まだ今まであまりお話したことのないお絵描き教授会長の隣に座り、とりあえずお茶とお菓子をいただくことにいたしました。
しかしです、朝イチで会場に来て即売コーナーを見ている東京支部のT岡さんがそんな私に近付いてきて発したひと言が、私から落ち着きを奪います。
「ギョリュウ、即売にあるよ」
・・・・・・まじっすか?と席を立ち即売コーナーに向かいたく思ったのですが、その前に、横にいる会長が、
「まあまあ、それは後にしてさ、で、あなた、どちらから来たの?」
「は、はあ。。」
どうやら私はとても複雑な状況下にあるのだということに、その時やっと気付くのでした。
即売のギョリュウが頭から離れずのままでお茶をすすり、ヤケクソになってお菓子をムシャムシャ。
ああ、もっと自由に生きてみたい・・・
私は生まれてから死ぬまで、この決定的な不幸から逃れられぬのか?
不吉な土星の影響下で、この悲しみに耐えるしかないのか?
牙を抜かれた飼い犬達よ、その不似合いな雨合羽を脱ぎ棄てよ!
公園に群れる憶病なハトどもよ、パン屑を吐き出してその鋭いクチバシで大地を突き刺せ!
「お茶のおかわりはいかがですか?」
「・・・あ、いいえ、結構です。ありがとうございます」
。。。。。。
ハトどもよ~・・・・
さてそこに新しい来客が現れ、会長殿が席をたったその瞬間、その飼い犬は本来の野性の目つきを取り戻し、ネコ科の動物のように音もなく席を離れ、即売会場へすべり込むのでした。
ギョリュウ、はじめました。
これをテッペンに葉を少し残して切り詰めて、その葉をヒモや針金なんかで枝垂れさせ、ヤナギのような格好にして、涼しさを演出します。
T屋さんのはこんなギョリュウ。
もっと立った樹形で葉を枝垂れさせているのも良いですね~
樹も古そう。
横を向いてしまっていますが、鉢の絵がまた映えます。
葉っぱは栄養不足の真柏みたい。
それで、剪定した所は挿しておけば、まず着くそうです。それでもうちょっと小さなギョリュウも作りましょう。
また、切り詰めるともっと下の方に胴吹きする可能性もあるので、そうしたら更にもうひとサイズ小さく作ることも可能だとか(T屋氏談)。
さあさあ、遠慮なく胴吹きしたまえ。ほら、ほら。
あと、以前から挑戦したかったクコも見付けてしまいました。
この樹もおもしろそうなのです。きれいな実が付くらしいですよ。
今回はこの2点をお安くゲット。
やっぱし野性っていいなぁ。
飼い犬はもうたくさんだ。
ところで、会場の展示でこんな風景を発見。
滝石の脇に、ゆわいた丸太に乗って舵をとる人。
ちょうど近くにいたT屋さんにうかがってみると、これも筏。
筏は本来、舟を言うだけでなく、木材運搬の手段としてのゆわいた丸太のことを言うのですって。
長い棒で舵をとって進む姿に趣があるでしょ~?って、ううん、ナルホドネ。
ディズニーランドでちょっとそれに似たアトラクションを体験したような記憶があります。