ホトトギス
私が好きな草に、ホトトギスがあります。
随分昔、秋に町なかの日陰で群生するこの草を見付け、名前を調べた記憶があります。
それから、挿したり、タネをまいたりして、毎年更新しながら今でも隅っこの大きめの鉢で生きていますが、残念ながら、まだ一度もうちで花を見ていません。
ところで、先日の東京支部の例会で、T屋さんの持って来た鉢の中に、花カゴの鉢に植えられたホトトギスを見付けました。
T屋さんの草の中では大きいものですが、
実際に育ててみると結構大きくなるものなのに、小さな鉢で管理するとこれだけ丈が抑えられることを知り、
小鉢で育てる気すらおこさなかった自分に名人失格を告げました。
ホトトギスにも種類がいろいろあるようですが、このT屋さんのはヤマジノホトトギス。日本の山に生えている普通のもの。
このあと花がつくまでに丈はもう少し伸びるとのこと。
丈も葉もそれなりに大きくなり、小品では人気のないこの草ですが、
「私はこれね、あの、あんまり店では売れない(草)だけど、好きなんですよ。このホトトギスってのが。名前がいいじゃないですか。ホトトギスってね」
さらに続けます。
「それとね、あと、名前が好きだってのはね、あの、百人一首でさ、
ほととぎす
なきつるかたを
ながむれば
ただありあけの
つきぞのこれる
ってあるでしょ?俺はああいう人になりたいの」
だそうです。
小さく育つもの、小さくまとまるものだけを追っかけて、私は何か大切なものを置き去りにしてしまうところでした。
大切なものとは何かって?まあ、君も胸に手を当てて、よく考えてみたまえよ。
さあ、「ホトトギスを主木に飾ってみよう」プロジェクトの始動です!
へ?
とりあえず、うちにあるホトトギスを調べてみたところ、茎から少し発根しているところがあったので、そのあたりを切って、いくつか植え付けておきました。
残念ながら、もう小鉢はほとんど残っていませんので、出来損ないで我慢です。
この鉢なんて、上から見ると正方、下から見ると三つ足の丸ですよ?
作った人の人格が疑われます。
あとはもう、コーヒーミルクのカップ鉢です。とりあえずは小さな鉢に入れておかなくてはどうしようもありませんから、今は我慢。
伸びたいように伸びて来たうちのホトトギスと比べると、T屋さんのホトトギスは節間がしっかりと詰まっています。
それとこのホトトギスって、下葉がすぐ茶色くなるんですよね。空気中の水分の問題だと聞いたことがあります。
それも、ある程度は取ってしまって、それ以降は、秋に飾るのなら枯れてて当然、そのまま残しておくとのことです。
さてさて、良い鉢を作るなり見付けるなりしてあげないと。