赤松を嗜む
上野でタネを買って来て、それをまいて4年目になる我が家の赤松。その中でもある程度は手を掛けて育てた愛いヤツめ、愛いヤツめの赤松が10本くらいでしょうか。
水やりなんかはうちで一番丁寧にされている鉢の類です。
ひとつひとつ、手に持って、水が底から抜けるのを確認して、その上で行列ができるラーメン屋さんの茹であげた麺みたいに水を切って、表土が乾いても、なるべく底穴から見て土に湿り気があったら水やりは我慢して・・・
乾くことを知らない魂の私ですから、適度な乾きを好むというこの赤松の気持ちはなかなか理解に苦しく、なかば異文化交流と思ってお世話してきました。
同じように育てていても、いろいろ変わってくるものです。
この赤松は、随分と葉が短く止まってくれています。
針金もかけずでこのまま行きましょうね。
我が家の赤松実生組は若さ爆発中で、幹の低いところから胴吹きしているものが結構あります。上の赤松もそのうちのひとつです。
ちいさいポチっとしてるところから、いずれ小さな芽が吹いてきます。
どんな樹形になるのでしょうね。
こちらは今年も大暴れの葉をつけた赤松。
そして若干天然パーマ気味。
そんな私も若干天然パーマ気味。
でもですね、去年思い切って芯を詰めてみたら、若さゆえのエナジーで沢山胴吹きしてくれ、丈が小さいながらもなかなか良い所に枝が出来たのです。
なので、肥料を多めにやって、そろそろ芽を切ってしまおうかと思っています。
きっと将来は、立派な斜幹になって、いつも斜に構えて生きて来た私の悲しみと孤独をやさしく癒してくれるはずです。
幹肌も少し大人びてきました。父さん、嬉しいよ。
こちらはなんだか間の抜けた赤松。
上の方は良い感じで枝分かれしてくれているのですが、下の枝がなんとも中途半端。
今日改めて、この枝は・・・と、思いを巡らせていると、この中途半端な枝の元に、新しい命が。
幹側の芽でなく、枝の元に出ている芽がナイスですね。
何か、可能性を感じさせる芽です。
この赤松は、これまた個性派。
上に力が行き過ぎないようにして、どうにかこの低い位置の枝を育てたいものです。
今年は全体的に、胴吹きが多いので、肥料を多めにして対応してみています。
水の抜けも悪くなってきたので、水やりに注意して、来年には植え替えます。
この実生赤松が飾れるようになったら、私、泣いてしまうんだろうなぁ。
声をあげて、おうおうと泣いてしまうのかなぁ。
こらえながらも背中で男泣きかなぁ。
今からその時に発する、名人らしい名言を用意しておかないとなぁ。
ああ、忙しい、忙しい。
稲作、はじめました。
数年前、まだ盆栽を始めていない頃に、お正月飾りの稲穂をまいたら芽が出て、穂をならすまでに育ちました。
今度は小鉢で穂をならせてみたいものだと、今年再びお正月飾りの稲穂をまいたのですが、悲しいことに、うんともすんとも言わず。
諦めかけていたそんな時、盆栽歴も、日本小品盆栽協会歴もものすごく長いのに、何故か私の可愛い後輩、ふふふ笑、週末農夫のazeさんから、戦慄のプレゼントをいただきました。
種もみをたくさん。
しかも、畑用の稲だそうですよ。
とりあえず水にひたしておきました。
以前、農家の方はタネまき前に、発芽をそろえるために種もみをお湯に漬けておくと聞きました。
そして最近、実家で農業を営む友達に聞くと、昔はそうだったけど、今はそれ用の機械に入れておくだけなんですってね。
そんなわけで、とりあえず種もみを水に漬けてみると、
三日も経たないうちに、根っこを出して来ました。
この点は五葉松にも見習って欲しいところです。
さあさあ、急いで土に埋めておきましょう。すると、
次の日には芽を出してきました。一体何をそんなに生き急いでいるのでしょうか。
こんな遅い時期に小さな場所に発芽させ、稲穂を拝むのは難しいのでしょうが、とにかくいろいろ試さなくてはなりません。
それが、稲作文明というものですから。