第85回 国風盆栽展と立春盆栽大市とテキーラ
最終日ギリギリで国風展にすべり込みました。
ただ、去年は展示のみを見て盆栽負け(注;盆栽を見過ぎて疲れてしまうこと)してしまい、グリーンクラブの立春盆栽大市まで行きませんでしたので、今年はグリーンクラブ経由の国風展にしました。
さて、グリーンクラブ3階の小品天国を回っていると、先の名品展で御挨拶した某盆栽園さん発見。ナイーブな私ですが、だんだん業者さんというものがどんな生き物か掴みかけてきたので、ものおじせずに御挨拶です。
私の場合、日本小品の先輩方と展示会の際なんかに一緒に売店を見る機会があるおかげで、なんとなく先輩の付属品として顔を知っていただき、そこから顔見知りになれています。
そのお店には、いつもお高そうな小さな鉢が並んでいますね。今回は軽くテキーラをひっかけていったので、いつものナイーブな私ではありませんよ。ひっく!
ショウケースにおさまった古そうな鉢を舐めるように下から上、上から下と見ていって、うんうんありましたね~、稚松愛草。
あぁ..癒される。
そのうちのひとつを指差して、
「これ、手にとって見てもいいですか?」
と、昨日の夜に、鏡の前で、さんざん言う練習をした言葉を発します。発してみて、うん、OK。声も震えていないし、ドモリもしてない。あくまでも自然で、玄人っぽくもなければ、全くの素人っぽくもない雰囲気。
パーフェクトです。
と、ひとつ見させていただいたら、次々と向こうから見せてきます。あやうく意識を失い昇天してしまうところでした。
中でも珊瑚釉の長方は、もってかれてしまいそうでしたね~。なんでも、今の珊瑚釉と違い、扱ってはいけない毒性の強いものが入っているので、色が独特なんですって。
なんとも言えない素敵な色をしていました。触り心地も最高なのです。ずっと撫でていたい感じ。
しかしどれも平気で2ケタ万円。安いもので、やっとひとケタ万円。とても手が出ませんね。
だがしかし、いつかはこの手に!そう信じて、それを希望に細々と生きていきましょう笑。
さてさて、結局このフロアで買い物はしませんでした。最終日の品ですから、ことさらにしっかりと吟味しないといけません。
で、お買い物をしたのは、いつもの大野さんのところでした笑。
箱根ウルシヅタ。
これで高さ3センチ程です。葉っぱが小さな三葉なんですって。鉢がちょこっと欠けていたのと、期待の最終日割引がありまして、幾分お安くなりましたよ。
あとは1才一位と、荒皮マユミさんの若くて小さいのを。時間がかかるでしょうから、未来の自分へプレゼントです。
こうして雰囲気に呑まれず、ほどほどの買い物で済ませた自分に少し感心し、またテキーラを軽くひっかけてから、売店を振り返らずにシャトルバスへと飛び乗りました。
もうわざわざ入口の看板の写真を載せる必要もないでしょう。なのでシャトルバス道中から工事現場の壁の写真をとっておきました。
去年とかはもっと小さな盆栽もあった気がしますが、私の気のせいですか?まあでも、すごいボリューム感でした。ずっと盆栽に睨まれながら順路を歩いているかのような錯覚を覚えます笑。
私としましては、一昨年、去年と、素敵な寄せ植えを見れていたもので、今年もそれを期待してしまっていたのですが、それが叶わずだったので、ちょっと残念です。
一昨年あたりに見た米栂の寄せ植えなんて、ものすごく感動したのです。またそんな出会いがないかなぁと、勝手に期待してしまいました。
そうそう、昔の国風展に飾られた樹を写真で見ると、今よりすっきりした印象を受けますが、やはり時代ごとに流行りみたいのがあるのでしょうか?
80年代の盆栽雑誌で九霞園の村田久造さんが、
「戦後この方、これは良い席だなぁ、と思うのが時にはありますが、中々難しいものです。今は展示会で飾ることが一番多いですが、その手本というか参考にされるのが国風展でしょう。それが、どうも物足りない。やはり一本並べの感じで、木だけがやたらに大きくなってしまっています。
昔はもっと柔らかい、味のある木が出品されたものです。三尺を超えれば盆栽じゃないといわれました。三尺以上もあって盆栽として通ったのは、宮内庁の盆栽だけです...........
戦前の国風展は九尺の席で、そこに味のある木を飾り、工夫をこらしたものです」
とおっしゃっているのを読むと、きっと若い素人の私には知るよしもない様々な変化が、国風展にもあったのですね。
と、ゆっくり見ていたらいつの間にか国風展も終わりの時間となってしまいました。今日1日で、そこいらの森に行くよりもたくさんの木を見ましたね。奇妙にひん曲った木々達ばかりを笑。
良い日だったなぁと呟きながら、またテキーラを軽くひっかけて、家路につくのでした。
ヒック!
ういぃ...