棚頭(タナガシラ)
日本小品盆栽協会東京支部の2月の教室で展示する際の主木について教わっている際、「棚頭」という言葉を初めて耳にしました。
棚頭とはつまり、
「うちの棚ではこいつが一番偉いよ」
「うちで一番良い木なんだよ」
というような盆栽のことだそうです。
例えばその棚頭が松柏でないとしても、その棚頭が良い感じの時期に展示があるのなら、それを主木にしてもよいではないか、よいではないか、もっとちこう寄れ、でも、基本松柏だよ、とのことです。
T屋講師曰く、
『これでなきゃだめだよ、(国風展みたいに)上にドーンとしたのがあって...という飾りじゃなくて、我々は少なくとも「遊び」でやってる世界だから、そんな堅苦しく考えない。
だけど基本だけは皆さん頭に置いておかないと笑われるから。笑われたら、「いや実はこうなんですよ」と説明するくらいの知識は持っておいた方がいいと思いますから』
そんな考え方を元に、樹の正面の決め方から、樹形ごとにどんな飾りで、どんな場所に向くか、どう見せるか、添配の使い方など、一歩踏み込んだ内容でした。
例えば花の咲いた黄梅が棚頭だとして、それを飾りたいとしたら、黄梅は「里」の木なので、添えにたまり石を置いて池を表現したり、くずや石を置いて民家を表現して、そこに草でも加えればもう三点飾りができあがると。
または、歌の文句からイメージを膨らませて、
直幹の松柏を主木にして、「別れの一本杉」を表現しようとすれば(私その歌知りませんけど...知りませんって言えませんでした笑)、別れの景色を作れば良いと。別れの景色じゃあんまり派手じゃおかしいので、お地蔵さんを置いて「さび」を利かす、と。こんな風にテーマを決めて飾るというのもひとつだそうです。
そう考えると展示って、面白くなってきますね。
しかしなかなか初心者の私には添配まで手を出せません。でも、展示を意識するようになってからは、そういったものも売店にあると、ちょっと違った目で見るようになりました。
「小品盆栽は園芸の中の俳句だと思うんですよ。要するに、枝1本で表現するわけですから。枝1本で表現するためには、(手元の盆栽の枝だけを皆に見せながら)これだけ出たんでは、あれ?これ冬かい?夏かい?秋かい?っていうことを、まあ、新芽が出るからわかるんですけど、それをもっと強調するために、要するに春だったらタンポポか何か添えようとか、福寿草を添えようとか、冬だったら寒樹を入れようとか、そういう風にすれば景色が出来ますよね。
私どもは小品盆栽というすごく良いものをやっているわけだから、これはもう俳句だと思って、そのためには少しでも説明は省いて、何か(景色・季節・詩情など?)入れると。そのためには私、歳時記を入れようと思っているんですよ。それが非常に、あの、表現の仕方として...せっかくね、日本文化でやっているのに、それをやらない手はないということなんだと思いますけどね」
とのT屋講師の考えですが、「棚頭」かぁ....。
うちの棚の棚頭....
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足軽と落ち武者レベルの木ばかりが思い浮かんできますね笑。